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建築日誌
■森巌寺 弁天堂■    2004年11月17日

不忍池にぽっかり浮かぶ中ノ島には、弁天堂が建っている。
井の頭公園の池の中にも、弁天堂が建っている。
弁天様は女性の神様で、水のシンボルだということだから、どこの中ノ島にも弁天堂が建っていておかしくない。

近くに「森巌寺」という、幼稚園児でいっぱいの寺がある。世田谷では、なかなか見事な寺の一つに数えられる。
その見事な寺の脇に、奇妙な建物が建っている。
ここには池はないのだが、紛れもなく弁天堂である。それにしても、面白い形だ。
弁天様は、音楽・文芸・財宝といったものを司る、ちょっと欲深で、バラエティーに富んだ神様である。もちろん、女性的な抱擁力を備えた神様でもある。
抱擁力。包容力。芳容力。……
この言葉から連想されるのは、何といっても水のイメージである。と同時に、カプセルと言う言葉も沸いてくる。胎内。羊水。包容。……

澁澤龍彦のエッセイに、中尊寺の金色堂のことを、カプセルの中の何とか……と書いていたことを思い出す。そう、カプセルである。
ここ「森巌寺」の弁天堂は、このカプセルを象ったものに違いない。と、勝手に想像してみる。もしくは、池の中にぽっかり浮かんだ、白い蓮に抱擁される弁天様の芳容。……

いつもは気がつかなかったが、実は、今日、このカプセルの中に奇妙なものを発見した。
「幻想文学」でおなじみの、蛇おじさんである。
何でこんなところに、蛇おじさんを奉っているのだろう? 水。抱擁力。それとも……
まさか? と思いつつ、奇妙な思いのまま帰宅した。


森巌寺 弁天堂 
森巌寺 弁天堂

弁天堂に奉られる蛇おじさん
 弁天堂に奉られる蛇おじさん

「幻想文学」の蛇おじさん
「幻想文学」の蛇おじさん