Isidora’s Page
建築日誌
■ウォーキング・シティー+ハウルの動く城■   2004年11月20日

自慢ではないが、宮崎アニメいうものを一度も見たことがない。劇場ではもちろんのこと、TVでも一度もない。
確かに今までは自慢ではなかったが、こう世間で騒がれても一度も見たことがないというのは、もしかすると自慢になるかもしれない。果たして、いつまで見ないで済まされるであろうか。……
「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」など、宮崎アニメの評判は、随分若いころから良く聴くし、CMや本屋などでもよく見かけるので、一度も見たことがないにもかかわらず、ある程度ストーリーを知っている。(と、感じている)
キャラクターのお嬢さんの名前や、トロロとかトトロとかいう、化け物の名前などもよく知っている。ピカチューは別物であることも知っている。 (笑)

澁澤龍彦が「もっと幾何学的精神を」において、加藤幹也の小説を「私は見ていないのだが、風の谷のナウシカなんていうのは、これに近いのじゃないか? 」なんて書いているのを思い出した。きっと澁澤龍彦も、見ていなくても見ているような気になっていたのかも知れない。

というわけで、新作「ハウルの動く城」である。
90歳位の年寄りが主人公で、倍賞千恵子が主題歌を歌っていて、例によっての感動巨編アニメである。(と、推測する)
それでこの「動く城」のことであるが(ここからが本論である)'60年代に「ウォーキング・シティー」という構想が流行したことがある。イギリスの建築グループ、アーキグラムの中心人物であるロン・ヘロンが構想したもので、ハウルさんの動くお城が、実にこれによく似ていて、ついつい、ドキドキ・ワクワクしてしまう。
アーキグラムには、ピーター・クックというキャプテンがいるが(笑うところです)、彼の得意とするのが「インスタント・シティー」と称する構想である。
この構想は、都市としての最小限のエレメントを凝縮し、飛行船などに積み上げて、目的地でそれらを即席に構築するという、文字通りの仮設都市である。
いずれも、実際に試みようとしている訳でもなく、あくまでも突拍子もないビジュアル・アートの一環としての運動であると思われるが、今まさに、宮崎アニメがその構想を映像化へと実現するのである。
と、勝手に決め付けて見る。
小生が最も嫌う建築の分野ではあるが、「ハウルの動く城」を期に、ぜひともアーキグラムの構想を再燃させてほしいものだ。(笑)


 
ハウルの動く城

 
ウォーキング・シティー


インスタント・シティー