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建築日誌
■痙攣的建築精神■    2004年11月29日


「美とは痙攣的である。醜もまた痙攣的である。建築の目指すところは、畢竟、痙攣的な快楽である。ゆえに建築は、常識的であってはならない。……」(某有名建築家著「変態性欲に起因する建築」より)嘘です。
巷を歩いていると、不可解な建物に出くわすことがままある。「ああ、こんな風にしてはいけない。」と思うものや、「次はこれを真似てやろう。」などと、思うことは色々である。変り種を紹介する本などはいくらでもあるが、ここでは、いくつか痙攣的感覚の建物を紹介したい。

まずは、「超豪華避難階段の建物」。
経堂駅近くで発見した。この階段だけで、おそらく建設費が1,200万円はくだらないだろう。何なら、積算してやってもいい。(笑)
都内を見渡しても、これほど立派な階段建築は他に見つからない。しかもこの階段、避難階段という性格上、火災の時にしか使用されない。この階段を使用するときは、建物自体の終わりのときなのである。
その、リズミカルなデザインと(おお、まるでソラリスを髣髴とさせる)安全第一的機能を兼備えた逸品で、設計者の意気込みが感じられる。
一番人通りの多いファサードに採用した決断力には、まったく頭が上がらない。

「M2」。
隈研吾大先生の出世作である。環八沿いで威容を放っているので、知っている人も多いかと思う。
ちょっと前に、「読んではならない」とか「食べてはならない」などという本が人気を博したが、これは絶対に、「設計してはならない」建築物の代表格である。他人のふんどしで相撲を取る建築家の構造が見事に開花された、歴史に名を残す名建築。(ただし、取り壊されなければの話だが)

「世田谷区岡本の某住宅」。
これはいい。実にナイスな建築である。調べてみたが、誰の設計かは分からなかった。おそらく、昭和初期のころの建物ではないかと思われる。
玄関先で、洗濯をしている兄さんに聞いてみると、驚いたことに、これは個人住宅として使用されているようだ。外車が3台くらい駐車されていたから、余程の資産家であろう。写真では分からないが、玄関口までボロ服などが脱ぎ捨てられていたりする。ちょっとキッチュな感じもする。(笑)
こんな建物に住みたいものだが。……

超豪華避難階段の建物 
超豪華避難階段の建物

M2 
M2

世田谷区岡本の某住宅
世田谷区岡本の某住宅