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建築日誌
■旅館 對僊閣(たいせんかく)■    2004年12月21日

成金洋館を見た後、まだ時間があったので長谷寺へと向かった。長谷寺は、また別項で述べるが、その途中面白い建物に出くわした。旅館 對僊閣である。グッドである。かっこいい! バリバリの現役旅館である。(売り上げがいくらあるかは知らないが)
鎌倉市景観重要建築物に指定されているそうだが、まったく知らなかった。基礎資料が建物の前の看板しかない。要調査。
看板には、昭和2年の竣工とある。和風建築ではさほど古くは無い。設計・施工とも「三橋幾造」と記されているところを見ると、おそらく地元の大工の棟梁であろう。

1Fは、垂木を見せた下屋庇に「お兄さん、よってらっしゃい」の出格子窓。玄関は連層引き戸で、典型的な町屋建築である。
2Fがまたすごい。白塗りの高欄を、雲形ひじ木が支えている。この高欄(手摺)は、組高欄といって、実に手が込んでいる。
最高である、グッドである。横連窓の上に、さらに欄間窓が付いている。外壁は、押縁下見板張りで、上下のデザインを見事に二分している。この横連窓は、壁量が少なくなることから、本当は地震には弱いのだ。しかし、そこはそれ、旅館建築である。デザイン重視の構造軽視。これが商業建築の鉄則である。サイド・ウインドウを得意としたシーザー・ペリさんも真っ青である。

1Fと2Fをこのようにデザイン的に分断するのは、ルネッサンスまで遡ることが出来る。と、これもまた、小生の持論である。無駄な独り言になりそうな
ので、これ以上は展開しない。(笑)

建物の右側壁は、なまこ鉄板が貼られてあった。これはやむを得ない。古くたっていい、いつまでも現役を通してもらいたいものだ。

對僊閣
 對僊閣・外観1

對僊閣
外観2

對僊閣 
外観3