
ジョニ・ミッチェルを聴きながら。……嘘です。
カリフォルニア・ベイビー(旧特定郵便局)
有名な建物である。いや、店である。
大正6年竣工。当時から、郵便局として使われていた。
流線型のパラペットが時代を感じさせる。センスのいい、上品な建物である。
カリ・ベビ(地元ではこう呼ぶ)に改修されたのは昭和52年。確か小生が中学3年の頃である。
高校時代、函館で過ごした辻仁成は、良くここへ通ったと、どこかで書いている。いや、「函館物語」である。特に秘す必要はない。
アメリカ西海岸風の古ぼけた雰囲気をかもし出した、若者や観光客に人気のカフェである。(小生は西海岸なんて行ったことがないから、雰囲気なんて分からない)
シスコ・ライスといって、あちら風のチャーハンがとくに有名である。
辻は、東京に来てから、ここのチャーハン、いやピラフをいつも友達に振舞ったと言う。おしゃれである。きっと、南果歩も食べたことであろう。……函館に帰ると、このシスコ・ライスを必ず二度は食べるとも言う。
辻は、高校時代、音楽バンドをやっていて、輝かしい青春時代をおくっていた。小生は、高校時代から、徹夜で設計図を引く、悲しい青春をおくっていた。(笑)
辻は今でも音楽活動をしているのだろうか? 小生は今でも徹夜で図面を引いている。(苦笑)
小生にも、高校時代通った店がある。「キヨミアン・BOX」。カリ・ベビのすぐ近くにある。いや、あった。
悲しいかな、今ではクリーニング店になっている。外壁の塗装もはげて、ご覧の通り、若者も観光客も集まらない。(でも、ステキな建物でしょう。立派な擬洋風である。)
しかし、小生も函館に帰ると必ず二度は寄る店がある。
「丸金焼きそば」が、それである。
老舗である。通好みである。廉価である。
ここの焼きそばは(写真右)、シスコ・ライスのように、あちら風の味ではない。友人に振舞うほどのものでもない。屋台の味である。パサパサしている。普通の焼きそばなのである。
中学・高校と良くここの焼きそばを食べた。すぐ向かいにパチンコ屋があって、休憩の札をもらっては、ここの焼きそばを食べに来た。みんなそうしていた。いや、高校生だから、みんなしていた訳ではないが。(笑)
小生にとっては、何年たっても、この味が忘れられない。青春の味なのである。何度か東京の友人を連れてここへ来たことがあった。評判はいまひとつ。
「屋台と同じじゃない!」いつもそんな言葉が返ってくる。
春の光と影。
影に育った人間は、輝かしい光が眩しくて耐えられない。
いやいや、そんな、眩しい光など当たったことがないのが現状である。(笑)

カリフォルニア・ベイビー

キヨミアン・BOXのあった建物

肉入り大盛