Isidora’s Page
建築日誌
■和田堀給水所■    2005年02月10日

実は、近所にもう一つ給水塔がある。いや、正確には「塔」ではない。これは紛れもなく「パノラマ館」である。(笑)
京王線・代田橋近くにそれはある。広大な敷地で、高い高いフェンスをめぐらせ、一瞬、野球場かとも思われる。
「和田堀給水所」。昭和6年竣工。設計者は「東京都水道局拡張課」と、資料にはある。
駒給(こまきゅう)が、高さを誇る垂直性への挑戦だとすれば、ここ和田給(わだきゅう)は、水平性への挑戦としてのパノラマ空間である。乱歩は、この和田堀給水所を見て、あの「パノラマ島奇譚」の発想を得たという。いや、嘘です。(笑)
内径79.9m。壁厚36センチ。面積約5,700・にもなる。円形に囲まれた周壁をバットレスで押さえ、対極に階段が2つ設置されてある。階段部分のデザインは、ローマの「コロッセウム」を髣髴とさせる。まあ、トンネル風のデザインである。廃墟系が好きなデザイン。(笑)
  いつも疑問に思うことだが、給水塔にはなぜ中央に塔屋が建っているのか? ここにも、ご多分に漏れず「唐人の帽子のようにとんがった」ようなペントハウスがある。
いや、機能を考えるならば、これはしごく当然なことである。形態的にもシンメトリーだから、中央にそれが立つのは自然である。ならば何も疑問はないではないか? と思われるが、やはり疑問なのである。なぜかと言うと、どいつもこいつも似たような形態をしているからである。なぜ似たような形態になるのか? それは、機能的にシンメトリーであった方が都合が良く。……
こうして小生は時間を浪費し、いつも徹夜仕事になってしまうのである。(笑)
  水道局の施設は、どこも厳重に管理されていて、なかなか中に入ることはかなわない。花見のシーズンなんかは、特別に一般公開されるようだが(そのほうが、かなり危険ではないか!)、写真はフェンス越しから覗いて撮ったもの。残念ながら全体像はお見せできない。
建物の写真を撮るときは、いつも罪悪感と危機感を覚える。しかも、ちょっと間違えば不法侵入で訴えられる。
下着ドロに間違えられたことはないが、万が一捕まって、自宅の書棚を調べられたらどうしよう。……などと、いつもびくびくしながら撮影する。(そんなにまでして写真、撮らなくていいですから……) 公園側からの景観が一番良く全体像が分かる。誰もいない公園、と思いきや、最近このあたりをうろうろしている、幟を立てた豆腐屋のリヤカーが置き去りにされていた。 でも、誰もいない。こんなところで油を売っていていいのだろうか? いや、油揚げなら売らなければならないだろうが。(笑)
それにしても、このあたりはかなりジャンクなスポットである。近くには羽根木神社がある。(乱蔓さんのお好きな、狐がおります)どこかの材料置場がある。駅前周辺は、とても世田谷区だとは思えない場末の飲み屋街。そして極めつけは……。
と言うことで、次回はこの極めつけの神社について紹介する予定。


和田堀給水所正面玄関フェンス越しの外観
和田堀給水所・正面玄関フェンス越しの外観

油揚げを売る豆腐屋のリヤカーがある公園側の外観
油揚げを売る豆腐屋のリヤカーがある公園側の外観

外観2
外観2

貴重な設計図
貴重な設計図