Isidora’s Page
建築日誌
■雨の日は、撮らないで。■    2005年02月018日

これは、故人を罵ることは今人を罵ることよりも確かに当たり障りのなかったためである。……

と言うことで、故人となった、マリオ・ボッタ先生について少しだけ書いてみる。いや、まだ故人ではなかったか? 大変失礼いたしました。(笑)

ワタリウム美術館。1990年竣工。
ボッタ先生の、日本で初の建築作品である。神宮前にある。目立っている。美術館としても好評なので、訪れた方も少なくないだろう。

小生が現代建築について云々するのはめずらしい。
およそ、批判的になるに決まっているからだ。
故人の場合は、何の気兼ねもなく批評できる。加えて、酔っ払いながらも云々できるわけ。
ところが今人となると、……いやはや、全く荻生徂徠の姿勢には感服する。

それで、ワタリウム美術館である。
現在、岡倉天心展をやっている。
ここのチケット形式は変わっていて、サインをすると会期中いくらでも見られるフリーチケットになる。何度来てもただで見られるというわけだ。
でも、そう何度もくる客など滅多にない。
考えようによっては、おいしい商売である。(笑)

岡倉天心は、フェノロサの通訳として名を馳せた。フェノロサは、東大お抱え外人教授である。法隆寺の秘仏を、全世界にさらしたことで有名である。日本的神秘感覚は、この時点で失われた。なぜに秘仏を公開せねばならなかったのか?
と、天心の精神を疑ってみる。
最近では、何でもかんでも世界遺産に登録されたがる傾向にある。なんなら、上野公園のテント村も世界遺産に推薦してはどうか?。

天心展では、磯崎先生の企画で、六角鬼丈が設計したというバラックにも及ばない新・六角堂が展示されている。
全く、大げさとしか言いようがない。遊びが過ぎる。
でも、デザイン系の学生達は、キャーキャー騒ぐのであろう。……

で、マリオボッタであった。
ワタリウム美術館は、狭小敷地に建つ美術館として、面白い計画がなされている。本当に面白い。しかし、面白いのと素晴らしいのとは次元が違う。
とにかく雨の日にたずねてみた。
打放しコンクリートは雨に濡れるとこんな感じである。
せっかくの花崗岩とのコントラストは失われる。
雨の日は写さないで。……
意地悪な小生は、嫌だということをしたがる人間なのです。(笑)


 
雨の日のマリオ・ボッタ


晴天の日のマリオ・ボッタ

 
エントランス