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建築日誌
■旧尾崎行雄(咢堂)邸■    2005年03月23日

国のため/行くべき道の/一と筋を/面【おもて】をふらず/我れ進めゆ
咢堂翁の短歌である。
さすが、憲政の神と呼ばれるだけにまっすぐな歌である。
「面をふらず」という言い回しがとっても素敵ですね!

灯台もと暗し。
すぐ近く、豪徳寺付近にそれはあった。
コバルト・ブルーの擬洋風。と言うよりも限りなく水色に近い彩色である。
設計・施工は不明だが、竣工年は明治の末であるという。
南京下見板張り。
2F窓上の小壁が、白く塗り分けられているのが特徴である。
装飾はかなりあっさりとしているが、デザインセンスのよさが充分伺える。
ドーマー窓もあるが、今は塞がれているようだ。

この建物は、憲政の神である咢堂が、外国人女性のために建てたものらしい。(世田谷区教育委員会資料による)
昭和8年、麻布から移築されたと言う。
現所有者O氏の祖父が、当時8,000円で購入。麻布に住んでいたO氏の祖父は、前々からこの物件を狙っていたようだ。
各室はすべてに鍵が掛けられるようになっていると記されている。
でも、なぜそのようなことをわざわざ特筆するのであろうか?
食堂には大きなベルがあり、家族全員が一斉に集まったとされる。

増築もなされているようだが、元のデザインは崩されていない。
塗装も、丹念に塗り替えられているようだ。
洋風木造建築は塗り替えればいくらでも長持ちする。
やっぱり建物は、不自由ながらも使われていなくてはいけない。


旧尾崎行雄(咢堂)邸
旧尾崎行雄(咢堂)邸外観1
旧尾崎行雄(咢堂)邸
外観2
旧尾崎行雄(咢堂)邸
外観3