Isidora’s Page
建築日誌
■旧土浦中学校本館■    2005年06月01日

今日はいい天気だった。
それで、茨城県の土浦市へ出掛けた。
(いや、仕事で出掛けたのですが……)
さっき、帰ってきたところだ。
もう暑くて仕事にならない。
という訳で、早速日記をUPしてみる。

明治37年(1904)竣工。
設計者は、駒杵勤治。
木造平屋建て。

土浦といえば、予科練である。
陸上自衛隊の武器学校内に記念館がある。
武器学校と小生は少なからず縁がある。
でも、それ以上は話せない。(笑)

もう何度も土浦へは出向いているのだが、とあるところから駅までの往復を繰り返すばかりである。
今日は時間が余った。
それで予科練、いや、旧土浦中学へ寄ってみた。

久々の擬洋風である。
保存状態もなかなかいい。
月に1、2度公開されているようだ。
土浦一校の校舎内にある。
最近は、学校の構内に入ると、不振人物扱いされるので注意が必要である。
小生も、何度も苦汁を味わっている。
恐る恐る事務局にお願いしてみた。

「見ていいですか?」
「なにをみてぇの。」
「あれですよ。あれ!」
「ああ、あれかぁ~。外だけならいくらでも見ていいべぇ。」

ということで、穴の開くほど外観だけ見てきた。
感動的である。土浦まで来た甲斐があった。
東京では、なかなかこうは行かない。

設計者の駒杵勤治は、帝大建築科卒業のエリートである。
辰野金吾に師事したもよう。
卒業後すぐに茨城へ赴任し、在任わずか2年3ヵ月の間に数多くの官庁物件をこなした。

ゴシックである。いや、チューダーを意識した擬洋風である。
腰折れ尖塔屋根のバランスが何とも言えない。
また、禅宗の火頭窓を思わせる雲形のハーフチンバー。
妻壁破風部分の大味なアーチに、バラ窓風の田舎くさいデザイン。
玄関の3連尖頭アーチに、柱頭のコリント式を意識した「でも、俺のは違うぜ!」っていう感じの挑発的なデザイン。
いやー、参った。実にかっこいい!
長崎の大浦天主堂と、グラバー邸を混ぜこぜにしたような傑作である。

写真を撮っていると、初々しいカップルが立ち上がった。
ごめん、誰もいないと思っていた。
そういえば、小生にもああいう時代があったなぁ~。
と、ややノスタルジックになるのであった。


旧土浦中学校本館堂々たる正面 
堂々たる正面

玄関のデザイン
玄関のデザイン

中庭の外観 
中庭の外観