Isidora’s Page
建築日誌
■ポーラ美術館■    2005年06月23日

このところ厄介な仕事が続いていた。
いや、過去形ではない。
未だに続いている。(笑)

それで、久々に休暇をとった。
箱根一泊旅行である。
かねてから誘われていたものだ。
相手は20代の女性である。
たまには、そんなことがあってもいい。

と、言いたいところだが、そんなはずがない。
あるはずがない!
最近はとみに若い子とは縁がない。
子供と老人には人気者だが、「女性」の範疇に入る人間には相変わらずもてない。
しかも、これからは子供にも注意が必要である。
知らないおじさんが声を掛けて、子供が恐怖心を抱いたら逮捕される。
そんな条例をまじめに作ろうとしているご時勢である。

話がそれた。
箱根一泊旅行であった。

某大学の建築学科教授とその奥様、元助手の皆さんと小生(小生は助手ではありません)の都合8人の団体さんである。色気は無い。特に先生の奥様同伴であるため、その手の話題は一切禁止!(いえ、奥様がいるのだから、色気はあるのです)
そうなると、あとは酒しかない。酒だけである。
これなら、何も箱根にまで来なくても、神楽坂で飲んでも充分である。

酒ばかり飲んでいる小生らをたしなめるように、奥様が言い出した。
「あたし、ポーラ美術館が見たいわ。」
さすが先生の奥様である。センスがいい。
われわれも一応は建築専門家集団である。
建物のひとつくらいは見学して帰るつもりであった。
以下、元助手たちのひそひそ話。

「ポーラって、どこにあるの?」
「知らない。」
「誰がやったの?」
「知らない。」
「村野藤吾じゃないの?」
「まさか?」
「ヤブちゃん知ってる?」
「えっ! 安藤じゃないの?」
「……」

♪学校でてから十余年~
ってな歌があったけど、出来の悪い生徒たちはいつまでたっても出来が悪いのであった。(笑)


竣工:2002年5月
設計:安田幸一(日建設計/現東京工業大学大学院助教授)神成 健(日建設計設計主管)
施工:竹中工務店
学会賞その他、数々の賞を受賞。

ガラス張りである。
屋根も天井も壁もガラス張り。恐れ入った。
あとはコンクリート打放しと大理石だけ。
ものすごく費用が掛かった建物である。(はずである)

印象派展がやっていた。
もちろん小生らは建物のほうに興味が傾く。
壁をたたいてみたり、天井を見上げてみたり、床を触ってみたりと専門家による本格的な調査が始まった。

「先生、あのPCには目違いがありますね」
「養生も足りないね。」
「メッシュが浮いてますね。」
「エフロもありますよ。」
「あっ、あそこのビードが外れています」
「メンテはゴンドラですかね?」
「いや、キャットウォークがあったから……」

かくして酔っ払い集団は、美術館のレストランに入り、天井の音響チェックと称し「ビール・ビール」と叫ぶのであった。

注:一部表現に誇張があることを、深くお詫び申し上げます。(笑)

ポーラ美術館ガラス張りのロビー 
ガラス張りのロビー

壁面のリブガラス  
壁面のリブガラス

女性には見られない男子便所 
女性には見られない男子便所