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建築日誌
■山手資料館(旧園田邸)■    2005年06月26日

可愛いけど、ちょっと濃いかな?

そんな言葉をかけたくなる建物である。
横浜と言えば、山手資料館。
山の手の建物観光を始めるには、まずはここからスタートするのが王道であろう。

明治42年(1909)竣工。
設計者・施工者不詳。
木造2F建ての、瀟洒(?)な洋館である。

横浜居留地へ通う外国人の住居として建てられたものか、はたまた和風住宅と併存して建てられた洋館の一部であるのか?
関東大震災の被災により、ことごとく消失した木造擬洋風建築の、現存する唯一の遺稿であるという。
内部は、小ぢんまりとした資料館となっている。

ライトグリーンの下見板張りと、妻部のうろこ壁、妻飾りなど、建物全体のフォルムと同様に細部までくどくどしいデザインである。
くし型アーチの妻壁や、ルネサンスを意識した上げ下げ窓、よろい戸、持ち送りを多用する深い軒先など、西洋建築のアイテムが無秩序に並ぶ。
反面、軒先は半切妻で、和風のテイストを見事に同化させている点など、感心する面も多い。
技のデパートならぬ疑惑のデパート、いや、擬洋風のデパートといった横浜を代表する建物である。(比喩が古いなぁ~)

惜しむらく、余りにも手入れが施されており「古さ」がまったく感じられない。
近づいて見られなかったが、うろこ壁などは新建材ではないかと思われるくらい(きっと、そうにちがいない)真新しい印象を与える。
また、何度も壁の色を塗り替えているようで、昔の資料と比べるとその彩色のバランスもくどくなっている。
古いものは、ある程度古いままにしておいたほうがいい。
無理に「しわ」を取るよりも、堂々と「しわ」の美しさを誇れるようになりたい。(ええ、髪の毛も同じです)
そんな思いを抱いてしまった今日この頃である。……

山手資料館(旧園田邸) 
代表的なアングル

やや斜め下から  
やや斜め下から

玄関部分 
玄関部分