Isidora’s Page
建築日誌
■ブラフ18番館■    2005年08月19日

素人の外国人ではないか? と、思われる。
いや、この建物の設計者のことである。
素人とはいえ、かなりの建築マニア。しかも、設計した建物は一つや二つではない。
玄人はだしの貿易商人。主に、友人・知人から住宅の依頼を受ける。……
なんて、いい加減な憶測に興じているが、設計者不詳の建物というものは、こういう遊び方も可能なのである。(笑)

ブラフ18番館。
設計者不詳。
横浜山の手のイタリア山庭園の一角に建つ。
竣工年は不明だが、解体調査の結果、関東大震災前に建築された建物の部材の一部を使用しているという。
したがって、大正12年(1923)以降の竣工ということだ。
もともと、山手45番地に建てられた外国人住宅であったという。
戦後、現カトリック横浜司教区の所有となり、カトリック山手教会の司祭館として、ついこの間まで使用していたらしい。
平成3年にこの場所に移築される。

見事なデザインである。
しかし、やや首を傾げたくなる粗雑さ。
かなりいいセンスを持っているのだが、〆が甘い。
そんな感じの洋館である。
緑に彩られた上げ下げ窓とよろい戸、レンガ色のフランス瓦(いや、確認したわけではないですが)と白亜の外壁、このど派手な色の組み合わせは、外国人好みの王道である。
と、かなり大雑把に外国人一括り。(笑)
しかも、正面と側面に配した2つのベイウィンドウのしつこさ。玄関の密集したドリス式オーダーの柱、などなど。……
いやー、本格的洋館なのである。
これは、擬洋風などではない。

そして、段違いの胴蛇腹や、それらを分断する踊り場の開口部。
張り出し部分の中途半端な屋根の形状、片流れ屋根との不整合さ(しかも、ポーチの庇の出が外壁よりも奥まっている)などなど、もう少し改良すればかなり素敵になる建築である。
インテリアは、窓枠の緑と白い壁とのコントラストが清楚で良い。
日本を意識してか、格子を使った垂れ壁などご愛嬌である。
これは、小生好みである。とっても色っぽい。
現在は一般公開され、中では催し物もできるそうだ。


ブラフ18番館 
外観正面

リビングルーム  
リビングルーム

格子状の垂れ壁
格子状の垂れ壁

外観右アングル
外観右アングル

外観左アングル
外観左アングル

ダイニングルーム
ダイニングルーム