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建築日誌
■井岡家住宅■    2005年10月28日

井岡家住宅(日本民家園内)
旧所在地は、奈良県奈良市下高畑町。
17~18世紀初期。
切妻、1F(一部2F)、桟瓦葺。

町屋である。
油壺をかたどった、油屋の看板が出ている。
後に、線香屋としてその製造販売を行っていたという。

古都奈良と言うくらいだから、さぞかし古い町屋がたくさん残っているのだろうと思えば、実はそうでもないらしい。
たびたびの火災に遭い、17世紀の遺構はほんの数棟しかないと言われる。
これは、その数少ない遺構の一つ。
町屋であるから間口が狭く、奥行きが広い典型的な平面プラン。

表通りに面して左側が「ミセ」、右が「シモミセ」。
大戸口から入ると「ニワ」があり、左側に「ダイドコロ」と「ザシキ」が片側に並列している。
「ニワ」の突き当りには「勝手口」があり、裏通りに面している。
「ミセ」には「出格子」が張り出しており、時代劇でよく見かける風景。
「シモミセ」は品物の取引を行うところで、「揚見世」(アゲミセ)と呼ばれる折りたたみ式のテーブル(カウンター)が設けられている。(ばったり床机ともいう)
合理的である。機能的である。
屋台のラーメン屋のテーブルも、昔は「ばったりテーブル」だった。(笑)

屋根は、桟瓦である。
草葺と違って、さすがに格調高い。
特筆すべきは、一部に本瓦(丸い形の奴)を使っているところである。
左右の棟に2列。中央に4列。
かっこいいデザインである。
中央の4列が、庇部分には設けなかったところなど、現代感覚に通じるものがある。

あれ?
なんか今日は、笑いどころが見つからなかった。(笑)

井岡家住宅 
井岡家住宅・外観(正面)

「ニワ」から「ミセ」を見る
「ニワ」から「ミセ」を見る

 「ニワ」内観
「ニワ」内観(黒漆喰のかまど)