Isidora’s Page
建築日誌
■成田山新勝寺額堂■    2005年11月16日

バロックである。
いや、バロックを描くための過度なカンバス。
雑然の織り成すパッションの前には、いかなる理性も言葉が出ない。
これを見ずして、君は死ねるか!(笑)

成田山新勝寺額堂。
文久元年(1861)建立。
入母屋造り、桟瓦葺。
江戸時代末期の見世物建築である。

額堂とは、信徒から奉納される絵馬や額を掲げる御堂のこと。
どこにでも普通に見られる(絵馬堂など)御堂であるが、ここ新勝寺の額堂は極め付である。
新勝寺といえば、市川団十郎。
団十郎といえば、成田屋。
歌舞伎の世界の華やかさを裏付けるように、ここに奉納される絵馬や額も、実に豪華なものばかりである。

掲げる額を想定して、建物をデザインする。
いわば、現代の美術館と同じ役割を果たす。
派手な額を納めるには、箱もそれなりに派手でなくてはいけない。
この、おきて破りの公式を見事に実践した江戸の奇態美。
おお、何と麗しきバロックよ!

読まずに死ねる本は山ほどあるが、これは見ないで死ぬ訳には行かない!
いや、べつに見たから死んでもいいという訳ではありませんが。……(笑)

成田山新勝寺額堂 
成田山新勝寺額堂全景

額堂内部見上げ
額堂内部見上げ

額堂正面 
額堂正面