Isidora’s Page
建築日誌
■日本煉瓦製造株式会社旧煉瓦製造施設旧変電所■    2005年11月27日

長いタイトルで申し訳ありません。

記念すべき日本煉瓦製造の事務所が、娘の希望により煉瓦構造で建てることが出来なかったので(いや、そうと決まったわけではありませんが/笑)、せめて変電所でもということで明治39年(1906)に純粋な煉瓦構造として完成した。
設計・施工の名前は分からないが、飾り気のないこじんまりとしたセンスのいい煉瓦造である。
旧事務所とともに、国指定の重要文化財。

日露戦争後の高景気による煉瓦需要の増加に伴って、ここでも原動力を蒸気から電力に転換したもよう。
深谷の町に電灯というものが導入される一年前というのだから、やはり、これは、何と言うか、その~。いつもこの辺になると口を濁してしまう。(笑)

ともあれ、ここに、煉瓦製造所に似つかわしい立派な煉瓦構造の変電所が出来たわけである。
めでたし、めでたし。(笑)
因みに変電所とは、水力や火力などを電力に変える発電所のことではありません。
芋やかぼちゃを電気に変える魔法でもありません。
電気を変圧する施設のことなのです。(笑)

ちょっと以下、「煉瓦(れんが)」についての薀蓄をたれてみたい。(笑)
クイズで「レンガの語源は何語でしょう?」というのが時々ある。
ポルトガル語? スペイン語? 中国語? 英語? 
答えはれっきとした日本語なのである。
さしあたり「煉りあがった瓦」という意味であろう。
だから煉瓦は、「レンガ」と書かないで、漢字で「煉瓦」と書いて欲しいのである。
「ガス」はもともと日本語でないから、「瓦斯」と書かなくてもいいのです。(『深谷市民疑章』より抜粋/笑)

煉瓦の積み方にもいろいろある。
「フランス積み」「イギリス積み」「小口積み」など。
ドイツがないと良く言われるが、「小口積み」のことを「ドイツ積み」とも言うのである。

以下、またもや薀蓄。(中にはウソ蓄が混じっているかも/笑)
煉瓦は規格品なので、その形状・寸法はJISで決まっています。
210×100×60というのが基本的な煉瓦一個の寸法。
この全形煉瓦を半分に切ったものを「ようかん」と言います。
あの「羊羹(ようかん)」のことです。(決して食べられないのでご注意ください。)
さらにそれを半分に切ると「半ようかん」。
ラーメンの麺を半分にすることを「半ラーメン」。
あれと同じこと。(笑)
全形の長辺のことを「長て」、短辺のことを「小口」といいます。
フランス・イギリス・ドイツ積みは、これらの煉瓦の組み合わせと、その組み方に工夫がなされます。
目地が上下にまっすぐ通ることを「芋目地」といい、互いにずれている目地を「馬目地」という。
煉瓦造は、芋か馬かで強度が決まるのです。(笑)

●フランス積み:各段とも、長てと小口を順繰りに並べたもの。上下段とが芋目地にならないようにずらしながら配置。
●イギリス積み:ある段を長てばかりで並べ、次の段を小口ばかりで並べる。その繰り返し。同じく芋目地にならないように並べる。
●小口積み:各段とも、小口ばかりで並べたもの。同じく芋目地を避けるため、半分ずつずらしながら並べる。
(注意:イギリス半枚積みと間違いやすいので、必要な場合は、専門家の先生にお尋ねいたしましょう。)

うーん、文字で説明するするってのは難しいな。(笑)
でも、見た目ですぐに分かるから、注意して見ていると面白いですね。

さて、ここで問題!
この建物は、何積みでしょう?
正解者には「抱っこ権を上げる」って、どこぞの日記見たいですが。(笑)
ヒント:ナスチェンテス・チーゼ先生はドイツ人。一番下の写真が分かりやすいです。(親切ね)

日本煉瓦製造株式会社旧煉瓦製造施設旧変電所 
日本煉瓦製造株式会社旧煉瓦製造施設旧変電所・全景

 開口部拡大
開口部拡大

裏側 
裏側

玄関拡大
玄関拡大

フランス積み・イギリス積みの比較
★(参考)フランス積み・イギリス積みの比較
「旧開拓史函館支庁書庫」明治13年(1880)


下屋の部分がイギリス積みで、本屋はフランス積み。
分かるでしょうか?

フランス積みは、1886年頃までにほぼ日本で消滅している。
その後はイギリス積みが隆盛を極めるので、
この建物の下屋部分は、後からの増築だと思われます。
うーん、建築探偵みたいだな。(笑)
★種本を紹介。↓
種本