Isidora’s Page
建築日誌
■ガス資料館・千住館■    2006年01月29日

たまにではあるが、英語表記での図面依頼がある。
小生は英語が全然分からない。
いや、英語どころか日本語すらろくに分からない。
分からないけれども、来た仕事はたいてい請けることにしている。(笑)

ずっと前から言っているのだが、設計屋などは馬鹿でも出来る。
こう言うと「それは謙遜であろう……」と良く言われたものだが、今回の耐震偽造問題の発覚で計らずともそれが立証された。
馬鹿どころか、元請設計事務所は下請けの計算書すら見ていないことが公になる。
以後、この言葉を発しても誰も謙遜だとは思わなくなった。
実は多少は謙遜して言っていたのに、全くあいつらは余計なことをしてくれた。(笑)

設計図というものは大変に便利なもので、言葉など書かなくたって何とかなるものだ。
図と寸法は世界共通語なので、下手な文章など書かない方がかえって伝達しやすい。
室名や、ちょっとした仕上や工法のコメントだけで足りるのだ。
スペルが少々間違っていたって、たいした問題ではない。(笑)
最近、暴力沙汰を起こしたボビー・オレゴンの「いい加減な日本語」を聞いていれば、言葉などは伝達行為の補助手段に過ぎないことがよく分かる。
こうして、馬鹿が書いた図面を元に、世の中には立派な大使館や空港や某……
おうおう、ついつい調子に乗るところが小生の悪いところである。(笑)

で、煉瓦構造の建物ついでに、先日小平に行った時の写真をアップする。
たしか、大雪の降った翌々日だったかと思う。

ガス資料館・千住館
大正3年(1914)竣工。(明治45年という資料もある)
設計者・施工者、どちらも不詳。
元は煉瓦造、1F建て。
千住にあった東京瓦斯千住工場計量器室を、昭和52年に小平市に移築保存したものである。
移設後は外観だけを保存して、中はSRC構造に全面改修している。

典型的な煉瓦造である。
煉瓦の積み方は、オランダ積みと思われる(ほとんどイギリス積みに近い)。
国立近代美術館工芸館で、ヴェルデさんからマグサの話が出たので、ちょっと比較してみる。
この建物の窓にはマグサが無い。
代わりに、丸くアーチを描いて、中央にキーストン(要石)がおいてある。
キーストンとは、扇の要のように重要な石で、これでもってアーチの圧縮力を保持している。
上から「キー、ストン」と落として入れるので、この名がついた。(ウソ)

因みに建築家のことを英語でarchitect(アーキテクト)とかく。
英語が出来ない小生でも、これくらいのことなら知っている。(笑)
このarchitectという言葉、語源はギリシャ語だかラテン語だから来ていると言う。
『ヴィトルヴィウスの建築書』を訳した森田慶一によると(原典を当たったかどうか不確かな一般ウケ美術書参照)、 archi(第一の、主要な、先導に立つ)+tect(職人、工人)の造語なのだそうだ。
このarchiは英語のarch(アーチ)に繋がる。
アーチはギリシャ時代にはなく、ローマ時代になって初めて普及される革新的技術である。
つまり建築家というものは、アーチという新しい技術を操ることのできる大層立派な職人だったのである。

A藤よ、聞け! お前はアーチなど造れまい!(笑)

注:受け売りに持論が混じってますので、学生・お役人・そのほか一般人に伝授する場合はご注意ください。(笑)

それにしてもこの建物、こぢんまりとしているがなかなかプロポーションがいい。
隣の本郷館のエレベーター設置工事のとばっちりを受けて、バリケードが寄せてある。
雪化粧された全景もなかなかいいのでアップする。
ついでに小生の影の写真も添付する。(笑)

そう、建築のことはarchitecture(アーキテクチュア)と言う。
もうこの仕事もアーキテキタァ~なんて、やっぱり日曜から馬鹿丸出しな小生であった。(笑)

ガス資料館・千住館 
ガス資料館・千住館・正面

斜めアングル 
斜めアングル

裏側 
裏側

雪景色
雪景色

撮影者の影
撮影者の影(笑)