Isidora’s Page
建築日誌
■三井本館(中央三井信託銀行)■    2006年03月13日

これぞ、アメリカン・ボザールである。
バザールではない。(笑)

なんて馬鹿なことを書いていたら、大森望さんがラジオで喋っているぞ!
SFからみた環境問題。
「SFマガジン」を宣伝している。

で、バザールである。
いや、ボザールであった。(笑)
正真正銘の本格的古典様式建築である。
スマートである!
スケール感が違う!
壮大である!
日本人建築家の手では、こうは上手くまとまらない。(笑)


三井本館。
場所は、中央区日本橋。
昭和4年(1929)の竣工。
SRC造7F建て。地下2F。
設計はトローブリッジ&リヴィングストン事務所(ニューヨーク)。
施工もあちらの会社で、ジェームス・スチュアート社(ニューヨーク)である。
ん? ジェームス・スチュアート?
まさか、ウィンチェスター銃を携えて施工したわけではあるまい。(笑)

旧三井本館は、鉄骨構造学の草分け的存在、横河民輔の設計であった。
海外から輸入した鉄骨で、日本最初の補強式鉄骨煉瓦造建築として知られたが、大正12年(1923)関東大震災の被害をこうむり取り壊される。
当時、ライトの「帝国ホテル」やフラー社の「丸ビル」などの建設があり、外国人による本格的西洋建築が随分流行したようだ。
因みに帝国ホテルは、関東大震災でも壊れていない。

大正14年、松田軍平がトローブリッジ&リヴィングストン事務所に入社し、その後日本に派遣され工事監理副主任として携わったようだが、どこまで携わったかは定かではない。
(松田軍平は、帰国後「新氏邸」などを設計しています)

とにかく、見事なデザインである。
3層を貫くコリント式のオーダーは、そんじょそこらの日本人にはとても真似できない。(笑)
実に洗練されたプロポーションなのだ。
見てきた建物を真似るのとは訳が違う。
しかも、ゴテゴテせずに堅固なルネサンスといった趣は、銀行という建築にぴったりである。
日本橋を闊歩するモボ・モガは、ニューヨークを歩いていると錯覚したかもしれない。
ああ、それに比べて向かいにある日本銀行の野暮ったさときたら。……(笑)

日本橋は、首都高速をどうするのこうするのと、今景観問題でもめている。
石原都知事が、日本橋を他の場所に移転させて保存しようと訴えているとも言う。
まったく、面白い発想をする知事である。(笑)

三井本館(中央三井信託銀行) 
三井本館(中央三井信託銀行)・正面

見上げ 
見上げ

ライトアップ 
ライトアップ

ドーリックではありません
ドーリックではありません(笑)