Isidora’s Page
建築日誌
■西本願寺 飛雲閣■    2006年06月17日

「見せない!」と言われると、人間見たくなるものである。
『鶴の恩返し』の悲劇は「決して覗かないでください」と、男に余計な注意を与えた点にある。
これは鶴の重大な過失である。
「見でけろ!」と最初に言われていれば、或いは男は興ざめして覗かなかったかもしれない。
鶴がもっと男性心理を研究していれば、『鶴の恩返し』はハッピイエンドで終わったかもしれないのだ。……
と、いつもながらの馬鹿な妄想にかられております。(笑)


続・京都西本願寺。
ここには、唐門の他にもっと有名な国宝がある。
その名も「飛雲閣」(ひうんかく)。
秀吉が造営した聚楽第の遺構であるとも言われ、その数奇な運命から「非運閣」とも呼ばれる。(うそ)

金閣、銀閣とともに、京都三名閣の一つである。
桃山時代。屋根は柿葺。三層楼閣。
国宝、非公開。(ただし、檀家の皆様にはお見せするらしい/笑)

この非運閣、いや、飛雲閣は実に小生好みの建築である。
それまで、素晴らしいとされていた「対称」をあえて崩し、非対称のアンバランスに興ずると言ったまさに通好みの色物。
唐破風に入母屋破風の違和感のある混淆!
そり屋根とむくり屋根の華麗な競演!!
花頭窓に軍配形の窓のちぐはぐな取り合わせ。……
ああ、とんちんかんである。
ああ、とんでもないバカ建築である!
ここまでやれば、馬鹿も立派な国宝になる。(笑)

どうして一般公開されないのか不満であるが、相手が見せないと言うのだから仕方がない。
まあ、力ずくで見る訳にもいかないし。
周辺を何度もうろついて、どこか見られるところはないかと探ってみたが、頑として門は開かない。
前庭だけでもと思ったが、それもままならなかった。
檀家ツアーの団体さんが、係員に導かれ中へ入っていく。
ううー、これに混じって小生も入りたい。(笑)

あきらめて一旦外へ出るが、どうしてもあきらめきれない。
「みせない!」と言われると、是が非でも見たいものなのだ。(笑)
そうこうしている内に、偶然秘密の覗き穴が見つかった。
ああ、これだ、これだ!
ここなら、よく見える。
しかも、ただで。じっくり見られる。……(よだれ)

それはなんと隣の寺の敷地であった。
公衆便所の裏側で、国宝はひっそりと聳えていた。

こっ、これが国宝なのか?
どう見ても、貧乏人の安普請。

見てはいけないと言うものを、無理やり見るからこうなるのでした。(笑)


西本願寺 飛雲閣
 西本願寺 飛雲閣・禁断のアングルから(その1)

禁断のアングルから(その2)
禁断のアングルから(その2)

禁断のアングルから(その3) 
禁断のアングルから(その3)