Isidora’s Page
建築日誌
■日本聖公会函館聖ヨハネ教会■    2007年01月08日

大三坂という坂を登りきると、そこはちょうど十字路になっている。
その交差点に立ち、右を眺めればすぐ下が元町カトリック教会であり、そのすぐ上にハリストス正教会がある。
真っ直ぐ上は細くて急な坂道になっていて、それを地元ではチャチャ登りと言って親しんでいる。
いや、親しんでいるとは言ったものの、看板が立っているからそう言ったまでで、実は地元の住民はいちいち坂の名前など覚えていない。
「ああ、ガンガン寺の横の坂だべぇ~」
ってな具合で充分認識できるのだ。
まあ、観光客の方がガイドを熟読している分、よほど坂道や建物には詳しい訳だ。……(笑)
この「チャチャ」とはアイヌ語でおじいさんの事を言うらしく、急坂を前のめりに歩いている様子を年寄りに譬えて、こう名前が付いたらしい。
むかついて「チャチャ」を入れたのではありませんので、あしからず。(笑)

で、このチャチャ登りの左側にあるのが、日本聖公会函館聖ヨハネ教会である。
ついでにその向かい側の道路を一本隔てた所に、東本願寺の大屋根が聳える。
なんとも、不可思議な光景である。
この四つを地元では、魔の異教四天王と呼ぶ。(ウソです。誰も呼びません/笑)

明治7年(1874)5月16日。
イギリスの海外伝道協会の宣教師ウォルター・デニング師が函館に上陸し、近くに民家を借りて日本初のデズニー・ランドを開いた。
……いや、すみません。(汗)
ウォルター・デズニー氏ではありませんでした。ウォルター・デニング師でございました。(ぺこり)
で、近くの民家に説教所を開いたのが、この協会の始まりなのである。

すでにカトリック教会もハリストス正教会も宣教を始めていたから、イギリス聖公会が宣教したのは三番目となる。
いや、もっと昔から親鸞聖人が布教を始めていたから、正確には四番目ですね。(笑)
それから月日が流れ(かなり大雑把)、数々の大火や台風のため、建立された教会は軒並み消失することとなる。
そして、昭和11年(1936)、この地にようやく立派な教会堂が建設された。……
その建物がこれである!
と、言いたいところだが(笑)、実はその建物は箱舟をかたどった木造建築で、築後40年以上、老朽化が目立ったため取り壊しの憂き目にあう。(うーん、残念!)
そして、昭和54年(1979)、鉄筋コンクリート造の現代建築として再建されたのが、この建物なのである。
そう、つまり新しいのだ!
これを、歴史的建築物と思ったお方は、どうぞお許しください。(笑)

とは言うものの、その形態は特異な形で、元町の景観にマッチした実にロマンチックな形をしている。
今では、誰も文句を言わない観光名所である。
上空から見ると(なかなか見られませんが/笑)、十字架の形をした屋根が特徴的である。
これを交差ボールと屋根といい、なかなかかっこいいではないか!
この建物の設計者、ちょっと調べてみたがなかなか調べが付かなかった。(笑)
いや、実は地元のT建築設計事務所のK氏だと思われるが、どういう訳か検索しても一件しかヒットしなかった。
ずいぶん昔、我が師、濱島國四郎先生から面白いことを聞いたことがある。
まあ、その話は、いずれまたの機会にするとしよう。……(笑)

日本聖公会函館聖ヨハネ教会 
日本聖公会函館聖ヨハネ教会・正面

日本聖公会函館聖ヨハネ教会
斜めアングル

日本聖公会函館聖ヨハネ教会 
背面

日本聖公会函館聖ヨハネ教会 
側面
日本聖公会函館聖ヨハネ教会
正面玄関