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建築日誌
■旧多摩聖蹟記念館■    2007年12月18日

何でも、天皇様が行幸された地を「聖蹟」と呼ぶらしい。
ん? 行幸?
はい、天皇様が外出することを行幸(ぎょうこう)と言うのだそうです。
皇后様や皇太子様が外出することは「行啓」(ぎょうけい)と言うらしい。
だから、一緒に出歩るけば「行幸啓」(ぎょうこうけい)となります。
中国人「堯功敬」は、一人で出歩いても(ぎょうこうけい)と呼ばれています。
って、すいません、これは捏造しました。(笑)

京王線に「聖蹟桜ヶ丘」という駅がある。
ここは、明治天皇が御行幸(ごぎょうこう)なされた地であるからこの名が付いた。
多摩だからって、たまたま来たわけではない。(笑)
30歳になる天皇様が、4回ほどウサギ狩りやアユ漁に来たというのだ。
たった4回?
と、驚くかもしれないが、たまたま4回になっただけで、1回でも通えばそこは聖地。
元宮内大臣 田中光顕伯爵が、何とかこの聖地を永遠に保存すべく、寄付金を集めてこの地に記念館を建てたとのこと。(ふむふむ)

さてここは、聖蹟桜ヶ丘駅からバスで20分ほどの場所。
都立桜ヶ丘公園の一番高いところです。
さすが多摩地区である。
たまげたものだ。(笑)
って、日曜日、余りにもお天気が良かったのでちょいと出掛けてみた。
いえ、たまたまですが。(笑)
公園というから、サンダル履きで歩けるところかと思ったのだが、これが甘かった。
うさぎ美味しい~かの~山~♪
いや、うさぎ追いし~かの山~♪ 
と、思わず口ずさむほど、そこは野を越え山越えの難所であったのだ。
あ~疲れた~。(笑)

旧多摩聖蹟記念館。
竣工は昭和5年(1930)。
RC造、1F建。
施工は大倉土木株式会社(現大成建設)。
設計は関根要太郎である。

建物の用途は別として(ん?)、どうです、この建物。
ギザかっこいいでしょう。(笑)
とても明治天皇ゆかりの建物とは思えない。
写真では円形に見えるかもしれないが、平面計画は楕円をモチーフとしている。
しかも、中心に楕円形のドームが聳え、それを囲むように半楕円の回廊で構成される。
外周の半分に12本の太い列柱を配し、一見ストーンヘンジを思わせる幻想的な外観を呈す。
単純な構成だけど、見る者に複雑な印象を与えるのだ。
う~ん、これぞ建築の魔術である!
モダンである。
シンボリックである。
セセッションである。
ユーゲントシュティールである。
(いえ、でたらめを並べている訳ではありませんから/笑)
あの帝国日本を代表する、帝冠洋式とはわけが違うのだ。
これぞ、本格的モダンスタイルの金字塔なのである!!

と、まあ~今回はずいぶん鼻息が荒いですが、御勘弁ください。(ぺこり)
わざわざ、うさぎ美味しい~野山を駆け上ってぜいぜいしながら見て来たもんですから。
あれ?
たまたまじゃなかったの?
って、だれか突っ込んでください。(笑)
☆?
設計者の関根要太郎は、コモモ色が好きな甘党建築家である。(と、勝手に言ってますが)
函館にある旧亀井邸も、旧函館海産商同業組合も、同じく関根の設計。
どうです。
どことなくセセッションの風味を醸し出しているでしょう。
関根は、どちらかというとあまり知られていない建築家ではあるが、そのセンスにはまったく脱帽する。
宗男のひそかな恋人の様な存在なのだ。(笑)
ちなみにセセッションとは、音楽でいうセッション・バンドとは一切関係ありません。
オーストリアでおこった芸術運動のこと。
分離派とも言いますが、家庭ゴミを仕分けする奥さんとも全く関係ありません。(笑)
ユーゲントシュティールとは、いわゆるアールヌーボーのこと。
これも、ボジョレーヌーボーと間違えるので、オーストリアではこう呼びます。(笑)

【所在地】東京都多摩市連光寺5-1-1 グーグルマップ


旧多摩聖蹟記念館 

旧多摩聖蹟記念館
ストーンヘイジみたいな列柱とスパニッシュ瓦が素敵!

旧多摩聖蹟記念館

旧多摩聖蹟記念館
木立のなかに佇んでます

旧多摩聖蹟記念館

旧多摩聖蹟記念館 
楕円形のドーム

旧多摩聖蹟記念館

旧多摩聖蹟記念館
なにやら怪しい、青銅のオブジェ。

旧多摩聖蹟記念館

旧多摩聖蹟記念館
開口周りは、人研ぎもしくはテラゾブロックの清楚なデザイン