Isidora’s Page
建築日誌
■小池煙草店■    2008年06月19日

あすの朝~ この街を~ 僕はぁ~ 出ていくのです~♪
煙草屋の~ おばぁさん~♪
お世話にぃ~ なりましたぁ~♪

あっ、この歌を知らない人は、どうぞスルーしてください。
↑kimuerichanさんからの引用。(笑)
お金ぇの~ ない時も~ あとでいいと言って~♪
ハイライトをくれたぁ~♪
お世話にぃ~ なりましたぁ~♪

いや、スルーしろと言っておきながら、まだ続けておりますが。(笑)

ここは秩父の市街地、秩父神社のすぐそばにある番場町ということころ。
番場の忠太郎が生まれた町、いや違いました。
侍ジャイアンツの番場番の生れ故郷。
いや、これも違いました。(笑)
誰が生まれたのかわかりませんが、秩父市で一番のレトロな建物が集まった町。
ん?
建物が集まるわけがありませんね。
結果として、レトロな建物がたくさん残った町。
と、訂正しておきます。(笑)

この煙草屋さん。
まるで井上順ちゃんの歌に出てくるような、親切なおばぁさんがやっているようなお店。
残念ながらお休みのようで、おばぁさんだか、おじいさんだかは確認はできませんでしたが。(笑)
昭和初期の建物で、当時は専売公社(もしかして、これも若いコモモさんは知らないかもしれない)から、モデル店舗に指定されるほどのおしゃれな煙草屋さん。
現在も、バリバリの現役として活躍している。(と、思われる)

小池煙草店
竣工は昭和初期。
設計・施工ともに不詳。
木造2F建て。
屋根は見えないけど、鉄板葺きと資料にある。

正面から見たファサードは、3F建てくらいの高さに見えるかな?
これは、屋根面よりパラペットが突出していて、それが看板の役割を果たしているからだ。
いわゆる、看板建築のひとつ。
角地を利用して、アールを描いたシンボリックなコーナー部の処理は、あの渋谷109と同じ手法。
う~ん、近代的だな~!
モボ・モガがくわえたばこで、腕を組んで闊歩していたさまが目に浮かぶ。(笑)

出入り口と、カウンターの窓は新しく改修されてはいるものの、他はほぼ昔のままだという。
お洒落だなぁ~。
交番の玄関先に付いているような電燈が、なんともいい味を出している!
宗男的には、破風板のフリルがなんとも可愛いのだ。
そう、宗男はフリルが大好きである!
って、これは余計でしたね。(笑)
2Fの窓のデザインも凝っていて、アールデコを想わせるセンスのいいデザインである。
最上部の、コーニスと呼ばれる蛇腹部分にある葉飾りは、まさに「葉飾り」で「歯飾り」ではない。
この葉は、タバコの葉ではないかと思いたいのだが、それはちょっと考えすぎだな。(笑)
そして、頂部にある幾何学的なメダイヨン。
これぞ、左官屋の腕の見せ所!!
銀座に建つデコ調の建物に、まったく引けを取らない秀作である。

こんなお店でたばこを買うのだったら、たばこ税が少しくらい上がってもいいんだけどな。……
と、煙草を吸わない宗男が言っても説得力がないな。(笑)
近々、たばこが一箱1,000円にもなると言う噂もあるが、そんなに値上げしちゃ煙草屋さんの経営も大変だろうなぁ~。
と、この建物を見るとつくづく感じてしまいます。
古い建物はどんどん減るし、何でもかんでも値上げだし。
あっ、今日はイカ釣り漁船もストをしているし。(泣)
お世話にぃ~ なりましたぁ~♪
なんて、店先に張り紙が出ないことを、心よりお祈りしております。

【所在地】埼玉県秩父市番場町17-10 グーグルマップ


小池煙草店 
小池煙草店

小池煙草店
正面ファサード

小池煙草店
アールを描いたシンボリックなコーナー部の処理

小池煙草店
アールデコを想わせる2F窓のデザイン

小池煙草店
裏から見ると、こんな感じ