Isidora’s Page
建築日誌
■長八の宿・山光荘■    2008年08月19日

伊豆の山々ぁ~ 月淡くぅ~♪

お盆休みも終わりである。
今年は危機的な建設大不況の年で、おかげさまで我が家も人並みにお盆休みを取ることができた。(笑)
うれしいのか、悲しいのか?
まあ、たまには骨休みも必要かと、一念発起して旅に出た。

行き先は、西伊豆である。

あ~あ~ 初恋の~♪
君を訪ねて今宵また~♪
ギター つま~びぃく~ 旅の鳥~♪

伊豆と言ったら「湯の町エレジー」しか思い浮かびませんので、わからないお方はどうぞスルーしてください。(笑)

西伊豆は、松崎町。
別に初恋の人を尋ねに行ったわけではありませんし、ギターを持って出かけたのでもありません。
ただ、「なまこ壁」が見たかったのです。(笑)
「なまこ壁」とは、壁にびっしりと「なまこ」が這いつくばった気持ち悪い壁のこと。
西伊豆地方の、海岸線の民家や土蔵によく見られる。

って、ちょっと違うんだな~。(笑)
「なまこ壁」とは、トップの写真に見られるような白黒チェック、格子縞の壁のこと。
ステーキ網を壁に立てかけたような、見事なワッフル模様が素敵っ!
黒い部分は平瓦で、白い部分は漆喰をかまぼこ状に盛り上げた目地である。
目地模様にもいろいろあるが、これは「四半目地」という。
防火、保温に優れ、風雨に強いというすぐれもの。
デザイン・機能ともに、左官職人の技が凝縮された、これぞ「日本の美」なのだ!
「左官」だけに、江戸時代以降各地で「盛ん」に造られるようになったという。(笑)

松崎町でも有名なお宿が、ここ長八の宿・山光荘。?
長八の宿としているのは、伊豆の長八こと、入江長八の鏝絵が残る土蔵部屋があるからである。
どうせ泊まるなら……
と言うことで、ここで一泊することにした。
長八については別項で詳述するが、まずは「どぞう(土蔵)お入りください……。」? ↑ 笑うところ!

山光荘。(もとは依田家の造り酒屋)
竣工は江戸後期(1840年代頃)のものとされる。
長八の蔵座敷は、明治20年頃のもの(長八73歳頃)。
旅館に改装したのは、昭和42年(1967)である。
設計・施工は未詳。

この長八の宿を一躍有名にしたのは、つげ義春の漫画である。
開業間もない頃、つげは偶然この宿に泊まり、後にその様子を「長八の宿」という漫画に描いた。
その後、長八ブームも手伝ってか、TVや雑誌で大いに取り上げられたという。
断わっておくが、いかりや長介はまったく介在していない。(笑)

山光荘 長八の間

この長八の間、見渡してもどこに長八の鏝絵があるのかわからない。
それもそのはず、長八の鏝絵は外にあるからだ。
だったら初めから外の写真を載せてくれよ~。(笑)
と言うことで、泊まり客しか見ることのできない貴重な長八の鏝絵をご覧ください。
山光荘 長八の鏝絵①

山光荘 長八の鏝絵②

ん?
これは何?
と言われそうですね。(泣)
そうなんですよ。
鏝絵は窓の外の持ち送りに造られてあって、窓から首を出さないと見られないんです。
しかも、網戸が嵌っていて、ちゃんと写真が撮れない。
まさか、嵌め殺しの網戸を取り外すこともかなわず、これでご勘弁。
ちなみに対面の網戸から撮った写真はこちら。
山光荘 長八の間外観

これじゃ、よけい分からないですね。(笑)
でも、やっぱりなまこ壁はかっこいい!
そうそう、ロビーにも長八の作品が飾ってあります。
正面左にあるのは、「宝来亀」と「寒牡丹」。
でも、遠くてよくわかりませんね。(笑)
山光荘 ロビー内観

山光荘  長八作「達磨大師」(年代不詳)

実は長八の間、この宿で一番高いお部屋なので、残念ながら宗男は泊まるこが出来ませんでした。(泣)
お客さまの帰ったあと、宿のおねいさんに頼んでこっそり覗かせてもらったのです。
宗男の泊まったお部屋はこちら。
山光荘
随分違いますね~。
ティッシュと鏡とゴミ箱が妙にリアルです。
「どぞう(土蔵)お使いください……」? って、言ってるみたい。(笑)

【所在地】静岡県賀茂郡松崎町松崎280 グーグルマップ


山光荘 
山光荘

山光荘

山光荘