Isidora’s Page
建築日誌
■きんかめ時計店■    2008年10月05日

ないものはない!
ここは、世界一の品数を誇る時計店!?
その名も、近亀(きんかめ)。
そうです。
この店には、ないものはないのです!!(笑)
看板に書かれた「ないものはない」の7文字。
店主の強気が、これでわかる!
正面のパラペット下にも、箱文字が踊っています。
右から読んで……
「ナ〇イモのハナイ」。
ん?
あのう、イの文字がないんですが~。(笑)
それにしてもこのお店、正面はともかく側面のデザインは超一級品である。
まるで、ビバリーヒルズの高級住宅!
って、ビバリーヒルズなんて行ったことありませんけど。……
いや、ヒバリーヒルズ(ひばりが丘)なら何度も行ってるかな。(笑)

きんかめ時計店。
竣工は昭和2年(1927)。
木造、2F建て。
施工は小峯晟佐棟梁。

元々は明治2年、近江出身の原田さんが近亀時計店を開業。
その後、明治43年に松崎幸太郎さんが買いうけ、現在の店主は三代目に当たるという。
川越周辺に50軒ほど流れをくむ「きんかめ時計店」があるらしいのだが、この店はその総本店。
明治36年(1903)頃には、見事な時計塔がそびえる洋館であった。
大正13年頃の古い写真を見ると、なるほどゴシック調で、旧第八十五銀行の塔に引けを取らない立派な建物である。
すごいっ!
すごいけれども雨漏りもすごかったらしく(笑)、大正末期には撤去され昭和2年に現在の建物が建てられた。
ゴシック調から、いきなりビバリーヒルズ調に建て替えられ、当初はコップも売られていたという。
これを「ビバリーヒルズ・コップ」という!
って、嘘に決まってますからね。(笑)
ちなみに「近亀(きんかめ)」とは、近江出身で、奥さんの名前が「亀」というので、この名がついたらしい。
いや、これはほんと。(笑)

何といっても、パラペットのアールデコ調のスカイラインが素敵である!
エンブレムのやや唐草調なタッチも見逃せない!!
窓格子の幾何学模様もゴテゴテせず、あくまでもデコにとどめているのがいい。(笑)
本来ならば、窓の中心軸とパラペットの中心点が一致するのだが、ここでは微妙に左へずれているのがお分かりであろう。
おお!
この数寄を好んだ棟梁のセンスに脱帽である!
一見、普通の木造モルタル造の家に見えなくもない。
しかし、これを無理やりビバリーヒルズ調に見せているのが、棕櫚(シュロ)の木の効果。
実際にビバリーヒルズに棕櫚(シュロ)の木がどれだけ生えているかどうか知らないが、少なくとも小江戸川越にはとても見えないでしょう?
これを証券投信投資顧問にならって「シュローダー」効果という。
って、すいません……
信じないでくださいね。(笑)

玄関戸は、アルミサッシュに替えられているが、天井のモールディングや欄間部分に当時の面影が残る。
庇を支えるブラケットもデコ調で、センスがいい!
欄間には、御多分にもれずステンドグラス(風)の模様ガラスが嵌められている。
暗いのか、それとも汚れているのか定かではないが、よく見ると花柄のフィルムを貼っているようにも見えなくないなぁ~。
これも、シュローダーこうかであろうか?(笑)
そうそう。
「金箔・宝飾・眼鏡」と看板に書かれているが、肝心の時計の文字が一つもなかった。
中へ入って確かめるほど勇気がなかったし……。
「ないものはない!」
と、断られるかもしれませんしね。
ん?
ないものはないとは、ないものはないと言っていたのか?(笑)

【所在地】埼玉県川越市幸町2-15 グーグルマップ


きんかめ時計店 
きんかめ時計店

きんかめ時計店
側面ファサード

きんかめ時計店
ビバリーヒルズ調のデザイン!

きんかめ時計店
中心がずれているパラペット!

きんかめ時計店
玄関UP

きんかめ時計店 
庇裏のブラケット

きんかめ時計店
ステンドグラス(風)の欄間