Isidora’s Page
建築日誌
■太刀川家住宅店舗・洋館■    2009年08月26日

ここは、どこ?
わたしは、だれ?
うっ!
…………………
気が付くと、もう夏も終わろうとしている。
新聞を読むとのりぴーが大変なことになっているし、芸能界は白い粉騒ぎで大わらわ。
大原麗子も、山城新伍も鬼籍に入ったと聞く。
巷では新型インフルエンザが猛威をふるっているということだし、何とかボルトと言う選手がものすごい記録で走ったとみんな騒いでいる。
すでに政権は民主党に変わっているし。
いや、これはまだちょっと気が早いか?(笑)
とにかく、今年初めての日記更新です。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
宗男でございます。
たいへん、お久しぶりでございます。(ぺこり)
ようやく、冬眠から目が覚めました。

さて、今年の正月は田舎へ帰った。
いまさら正月の話をするのは忍びないが、まあ、外は暑いので少しでも涼しくなるように。
なんてことで、えなり……
いや、かなり……時間がたってますが、函館の雪景色です。
地面に見えるのは大量の白い粉ではありません。
微量の白い雪でございますので、どうぞご安心して閲覧ください。(笑)

『太刀川家住宅店舗・洋館』
竣工は明治34年(1901)。
レンガ造、2F建て。
設計者:山本佐之吉。
施工者:山本佐之吉・伊藤栄次郎。
*
洋館は大正4年(1915)の竣工。
木造、2F建て。
洋館の設計・施工者は不詳。

この建物、建築物として函館で一番早く国指定された(S46年)横綱級の重要文化財である。
どっしりとした、安定感のある、落ち着いた店構え。
どことなく、不知火型の土俵入りを想わすその迫力。
それでいて、白鷺城にも似た優雅な装い。
……と、でたらめを並べておりますが、とにかく存在感のある重厚な建物である。(笑)
一見して普通の土蔵造りのようにも見えますが、実はレンガ構造で、その上に漆喰を塗り固めたものなんです。
これは、たび重なる大火と、海岸付近を考慮しての塩害から守るための措置に加え、耐火性とデザインを融合したため。
まあ、当時としては最新鋭の技術を駆使したもので、両袖の防火壁(袖うだつと言う)で、両側からの火の手を遮っている。
「うだつを上げる」とはよく言ったもので、2F全面窓を大きく開放的にできるのも実はこのおかげなのである。

このお店は米穀店で、初代(太刀川善吉)の頃は漁業も営んでいたと言う。
今でもお米屋さんをやっていると思うが、お店が閉まっていたので定かではない。
正面の3連アーチを支える柱は、実は鋳鉄製である。
よく見ると錆びているのわかるでしょ。
お米屋さんなので、柱はどことなく「米俵」をイメージしたデザイン。
……と言いたいところだが、実はこの柱の模様は「胡麻殻じゃくり」(ごまがらじゃくり)と言う。
当時は米屋で胡麻も売っていたのではないか? 
と強引に解釈したいが、おそらく全然関係ないでしょう。(笑)
1F引戸の戸袋も、石積みのように見えるが、これも漆喰で目地を切り石積み風に見せたもの。
なるほど、随所に創意工夫が見られます。
2Fの手すりは、現在は木製に変わっているけど、元は真鍮(しんちゅう)製だったらしい。
これは戦時中、進駐軍に供出されたということだ。
真鍮(しんちゅう)だけに、進駐軍(しんちゅうぐん)。
なんて、これはウソ。
供出先は日本軍でしょうね。(笑)

この建物、実は内部がとても手が込んでいる。
小屋裏は「クイーンポスト」と呼ばれる洋風の構造。
「クイーンポスト」はどこかで説明したと思うが、忘れた。
他に「キングポスト」と言うものもあるが、「郵便ポスト」とは全然無関係である。(笑)
残念ながら中は見ることはできないが、「じょうや」と呼ばれる部屋にある吹き抜けの箱階段は芸術品である。
また、ほんとか嘘か知らないが、2F床の間の壁には「石炭」を粉砕した材料が使われていると言う。
何とも北国らしい逸話であるが、故・川嶋龍司先生の残した資料にはこうある。
「筆者も半信半疑であり、その一部を燃焼してみてその事実を確かめた」
えっ? 先生!
壁に火を付けたんですかっ!?(驚)
なぜに防火構造の家に、わざわざ燃えやすい「石炭」を使用したのか信じがたいが、先生の行いの方がもっと信じがたい。(笑)
ちなみに、川嶋先生は授業中にT定規をブーメランのごとく生徒に投げつける、怖い先生でした。

隣にあるカテキン緑茶色をした洋館は、4代目(善一郎、後2代目善吉)が応接間として増築したもの。
この4代目は函館日日新聞社社長という肩書をはじめ、北海道で一番多く肩書を持った人物とされる。
肩書は多くても、肩にタトゥーは入っていない。
いや、確かめたことはありませんが、きっと入っていないでしょう。(笑)
タトゥーで思い出したが、のりぴーの小指には星型のタトゥーが入っていると言う。
いや、これは全然関係ありませんね。
玄関の櫛形アーチ中央には、変わった形のキーストンがはめ込んである。
何だか「クリップ」みたいな形で、とっても可愛らしいデザインだ。
よく見ると、のりピーのタトゥーに見えなくもない。
ああ、まだ妄想が続いている。(笑)
前面の隅を切り取った台形型の、本格的擬洋風。(?)
この洋風のデザインと、隣の和風のデザインとが並んで、この太刀川家は見事に調和しているのだ。
不調和の調和!
あの清純なのりぴーが、まさかこんなことになるなんて。……
ああ、もうのりぴーが頭から離れなくなったので、今日はこの辺で終わります。
みなさま、今後とも、よろしくお願いいたしマンモス。(笑)

【所在地】北海道函館市弁天町15-15 グーグルマップ


太刀川家住宅店舗・洋館 
太刀川家住宅店舗・洋館

太刀川家住宅店舗・洋館
両袖の防火壁(袖うだつ)

太刀川家住宅店舗・洋館
3連アーチと2F全面窓
太刀川家住宅店舗・洋館
3連アーチ

太刀川家住宅店舗・洋館
3連アーチを支える鋳鉄製の柱

太刀川家住宅店舗・洋館 
造築された洋館

太刀川家住宅店舗・洋館
洋館正面

太刀川家住宅店舗・洋館
洋館見上げ