生きております。使っております。駐車場としてもまだまだ平気です。
小生は建築が好きである。とってもとっても好きである。
なので、死んだ建築はあまり好きではありません。残念でなりません。老いさらばえても、建築は生きていてほしいのです。
一時「廃墟ブーム」と言うのが流行した。何と言おうか、もの寂びしい、出来れば避けて通りたい、でも、どこか心惹かれるところがある。……この得も言われぬ感覚を、小生も分からないわけではない。どちらかと言うと、好きである。いや、でもやっぱり嫌いである。それはある意味「荘厳」で「畏怖」に近い感覚に似ている。心惹かれるのは、きっと「恐れ」からきているのではないだろうか?
「廃墟」ブームならまだしも、昨今は、興味本位でこれに「心霊」テーストを加えるのが定番になっている。しかも売れている。小生も何冊もその類の本を持っている。小生はホラーが大好きである。しかし、心霊スポット的なものは嫌いである。でも、お化け屋敷は大好きである。うーん、どうも優柔不断である。(笑)
さて、某所某倉庫。(流れからいって、○○市じゃろうが!)
おそらく、大正後期から昭和の初期に建てられたものではないだろうか?(すみません、資料がない)鉄筋コンクリート構造。1F建て。この都市は(ミエミエだが念のため)、日本における鉄筋コンクリートの初期の遺構を沢山残している。この建物も、竣工当時は相当モダンなものであったに違いない。
コンクリートはアルカリ性だから、一番の天敵は塩害である。港に近いこの建物は、潮風の影響を受けて、一般よりも相当なストレスが加わっている。
鉄筋コンクリート構造とは、圧縮力をコンクリートで受けて引っ張り力を鉄筋で受けるという、鉄とコンクリートの両者で建物を支える構造である。どちらかが欠けても成立しない。(「誰でもわかる建築講座」より) 嘘です。
写真を見ても分かるように、この建物は鉄筋がむき出しである。コンクリートが剥落しているのである。何とかしてあげたい。でも、良く見ると鉄骨の柱を立ててサポートしている。努力の結果である。でも、大丈夫かなぁ~。
デザイン的には、分離派独特の「艦船式」を意識している。大きく張り出したキャンティ・レバー(当時の建物としては、奇跡的な技術です)。庇上の円形の軍艦窓。実に、かっこいい。ハイセンスな近代的倉庫である。
何年か前、この倉庫の前で芸術家たちが集まって、ドンちゃん騒ぎをしたと言う記事が残っている。騒いではいけない! 危ないんだから。(笑)
いずれ解体されるであろう運命にある建物だが、心霊スポットだけにはされて欲しくない。
注意:所有者の利得をかんがみて、場所、その他建物を特定出来る名称は控えさせていただきました。
キャンティ・レバー
同上詳細
外壁