片山東熊設計。明治41年竣工。
レンガ造・2F建て。外壁には、花崗岩が貼られている。
国立博物館の敷地内にあるので、多くの人が目に触れる建物である。大正天皇のご成婚記念館である。
バロックである。ネオ・バロック!
銅板葺きのいかついドームが、その特徴を良く表している。実に装飾的である。近代日本を代表する、本格的な洋式建築でもある。
片山東熊は、東京駅の辰野金吾とともに、コンドル先生から教育を受けた、第一次世代四天王の一人である。民間で活躍した辰野と違い、片山は、宮廷建築家であった。したがって、携わった建物も、現在まで手厚く保護されている。実に、有難いご身分である。(笑)
豪華典麗! とにかく本格的なのである。当たり前田のクラッカー!
カネも時間も充分かけられた。凄くないはずがない。 でも、どこか物足りない。なぜだろう?
おそらく、型に嵌り過ぎているためではなかろうか?
オリジナリティーの欠片もない。本格を模したものなど、今となっては珍しくない。しかも、等身大の本格さだ。(笑)やはり小生は、本格でない建物のほうがいいと思う。
柱と柱の間の壁に、奇妙な装飾がある。メダイヨンである。ただし、この場合、円形ではなく四角形である。
トンカチと、さす叉と、やっとこのようなものと、良く分からない「かんなくず」みたいなものが彫刻されている。おそらく、建築の何か(?)を象徴しているのであろう。本当に良くがんばっている。でも分からない。象徴とはそんなものだが。
片山の初期の作品では、この部分は多く空白となっている物が多い。何を施していいか分からなかったためだ。
「余白に書く」と、瀧口修造は言ったが、このあたりから近代建築にも本格的な図像学が取り入れられることになる。まあ、発想は、西洋の物真似と変わらないのだが。……
東熊の代表作は「赤坂離宮」である。
赤坂離宮は明治42年の竣工だから、表慶館と同時期に設計を行っていたと思しい。もちろん、赤坂離宮に力が偏っていたのだろう。表慶館は、意外と評価されていない。
表慶館外観1
外観2
メダイヨン