Isidora’s Page
建築日誌
■駒沢給水1号塔・2号塔■    2005年02月09日

松山巌の名著「乱歩と東京」に、さりげなくこの「駒沢給水塔」が紹介されている。また、インターネットで検索してみても「駒給」(こまきゅう)に関するHPはぞろぞろとヒットする。メジャーである。限りなくメジャーな建造物である。小生がいつも通う病院から、さほど遠くない住宅街の真ん中に、この異様なツインタワーはにょっきりと首をもたげている。

左側が1号塔。右側が2号塔。大正13年の竣工である。
設計は中島鋭治。近代衛生工学の父とも呼ばれ、数々の給水塔を設計したようだ。まあ、筋金入りの給水塔野郎である。
この給水塔、どことなく「浅草の十二階」を彷彿とさせないだろうか? そう、中島鋭治はあの十二階を設計したバルトン先生の後釜なのである。(親密な関係?)
「十二階」は、エッフェル塔を模したとも言われるが、実のところ、バルトン先生の専門分野である「水道施設」からその発想を得たのではないだろうか? などと、また根も葉もないことを考えてみる。いずれにせよ、「十二階」も「駒給」も、どちらも「へんてこりんな建物」であることには違いない。(笑)

内径13.93m。塔の最高高さ約30m。RC造、打放しコンクリート仕上である。基壇部分の壁厚が約3.3m。付け柱部分で45センチと資料には書いてある。分厚い。厚肉である。
塔の上部にはピラスターといって、尖塔のような付け柱が付いている。都合12本。その上には、電球が乗っかっている。(かつては、ガラス玉があったそうだ)
屋根のトップには、カプセル状のパーゴラが見える。まさか、天体観測をする訳ではないだろう。(笑)UFO信者などの餌食にされないことをせつに願う。まあ、廃墟扱いされるよりはましだろうか。……
しかしこの給水塔、立派な現役なのである。まだまだ大丈夫。 働く建築物。

右側の2号塔を良く見れば、下の方に何か文字が刻まれている。読めない。残念ながらズームを持ってこなかった。ああ、悔やまれる。それにしても最近とみに視力が落ちた。かつては2.0もあったのに。今では、虫眼鏡がないと図面が引けない。…… 

それで今日、昼休みに図書館へ行って調べてみた。あった。あった。
1号塔には「清冽如鑑」(せいれつかがみのごとし)。2号塔には「滾々不尽」(こんこんとしてつきず)。
内務大臣・水野錬太郎と記してあった。(笑)

駒沢給水1号塔・2号塔 
駒沢給水塔・ツインタワー全景

1号塔
1号塔

2号塔"" 
2号塔