Isidora’s Page
建築日誌
■聖徳記念絵画館■    2005年02月20日

国会議事堂の頭を、ザビエル風に刈り込んだデザイン。
もしくは、画家のベレー帽にあこがれた意匠。
そんなイメージがすぐに沸く。(笑)
しかし、これは国会議事堂を模したものではない。
こちらの方が、国会議事堂よりも年代的には先である。

大正15年竣工。鉄筋コンクリート構造。地下1F・地上1F建て。
計画・図案は、一般公募によって選ばれた。
小林政紹氏の設計案を、佐野利器が多少の手を加え、小林政一が工事を担当したといわれる。
このお三方の中で、特に有名なのが、我が国の耐震構造学の始祖と呼ばれる佐野利器である。
佐野利器は、東京駅の構造設計も担当した。
東京駅といえば、辰野金吾の名前がすぐ挙がる。いや、実際には辰野金吾の名前しか挙がらない。(笑)
辰野は今風の言い方をすれば、意匠屋である。佐野利器は構造屋。
近代以降の日本の建築は、意匠屋と構造屋とのコラボレーションで成り立っているのである。

雨のマリオ・ボッタの前に、実はこいつを見学してきた。
8、9年振りの訪問である。
実は昔、○区の某支所の監理をしていたことがある。
その頃に、度々ここへ寄った。まあ、いろいろと訳があるのである。(笑)

それはともかく、この建物は大正8年から工事に入ったが、途中関東大震災があって、大幅に工事が遅れたということだ。
外壁の花崗岩は岡山産。内部の大理石は岐阜産と、全て国内産の資材を以って建てられていることが自慢らしい。
ホールのデザインは見事なものである。もちろん、写真撮影は許されない。色とりどりの大理石を使った、モザイク模様。
ドームは、サン・ピエトロ聖堂ばりのリブ・ボールト(風)の荘厳なデザインである。

象徴とシンメトリー。
記念碑的建造物は、大抵このようなシンメトリーな平面計画をしている。
まったく分かりやすい。バロック化されていないのだ。
しかし、建物の性格上仕方ないことだが、展示の様子はいかがなものか? と、首を傾げたくなる。
右翼と左翼、いや、右ウイングと左ウイングには、それぞれ明治天皇ゆかりの絵画が、日本絵画と西洋絵画とに分かれて展示されてある。
都合80枚。大きな絵画だ。
「目で見る明治史」


聖徳記念絵画館 
聖徳記念絵画館・全景
エントランス
エントランス

エントランス付近右アングル 
エントランス付近右アングル