Isidora’s Page
建築日誌
■旧岩崎家撞球室■    2005年05月22日

ゴシック・リヴァイバルはゴシックにあらず!

と、小生は思っている。
でも、思っているだけである。
地球の中心へ行ったって決して叫ぼうなどとは思っていない。

それで、岩崎家撞球室である。
設計は同じくコンドル先生。
詳細は不明だが、明治29年(1890)以降の竣工のようである。
木造1F建て(地下1F)。屋根はシンプルなトラス構造である。


洋館のデザインとは打って変わって「スイス・コッテージ・スタイル」と、先生自ら呼んでいたそうである。
確かに外壁は丸太を積んだログハウスのように見えるが、実は丸太ではなく角を落とした「角材」である。
構造的にもログかどうか怪しいところだ。
でも、今まで倒れなかったのだから、これからもきっと大丈夫であろう。……(笑)

山小屋風に見えるのは、ログ(風)に見える外壁と、基壇部の石積み(風)に見えるコンクリートのなせる業である。
屋根はスレート葺で、妻壁の破風にはふんだんにウロコシングルが貼られている。また、庇の柱のデザインなどをかんがみると、これは紛れもなく「アメリカン・木造・ネオ・ゴシック」の系列に繋がるものである。
うーん、コンドル先生、よほど折衷様式がお好きのようだ。

乱蔓さんのコメントにあるように、洋館とは地下道で繋がっている。
さほど遠くもない敷地に建っているのに、わざわざ地下道を通って玉撞き場に行くとはさすが岩崎家である。
まったく、豪勢な話だ。
建築家はパトロンの経済力によって、その運命が左右されるものである。

地下道の出口付近に、ガラスで出来たトップライトがあった。
当時からあったものなのだろうか?
よく分からないが、下から見上げると眺めは最高(採光)に違いない。(笑)


 旧岩崎家撞球室 
全景

妻壁部分  
妻壁部分

眺めのいいトップライト 
眺めのいいトップライト