■旧新井邸(山手111番館)■ 2005年08月17日
干からびたチーズが話題になっている。
森前首相が「かみたくてもかめないんだよ」といったあの有名な場面。
手にしていたものはやや赤みを帯びた干からびたチーズ。
じつはこれ、ミモレットという高級チーズなのである。
まったくマスコミというものは、つまらない話題も面白おかしく取り上げる。
しかし今回は良く分かった。
森前首相は、かなりのしたたか者に違いないと。……(笑)
枕が思い浮かばないときは、時事に限る。
昨今はそういう意味では話題に事欠かない。
しかし、切り返しがどうも難しい。
尊敬する牧伸二のようには上手くいかないのだ。(笑)
で、旧新井邸である。(やっぱり切り返しがよくない)
ごく一部のファンから、横浜が面白いという意見を伺ったので引き続き横浜編といく。(笑)
設計は山手聖公教会、ベーリック・ホールを手がけたJ・H・モーガンである。
最近、一部の人間の間ではこのモーガンはかなりの流行である。
おっと!
「流行」と書いて思い出した。
「おたく」と言う言葉である。
昔は「おたく」は、一部の間でしか通用しなかった言葉である。
昨今「おたく」は、全世界的な共通語になろうとしている。
これでは「おたく」の行き場が、ますますなくなってしまうに違いない。(泣)
で、モーガンであった。(笑)
竣工は大正11年(1926)。ベーリック・ホールや山手聖公教会よりもやや古い。
モーガンは大正9年に来日しているから、この建物は横浜時代の初期の作品であろう。
すでに、基本的なデザインモチーフは成立している。
正面の3連アーチのポーティコは、モーガンお得意のモチーフである。
しかし、この新井邸には屋根はなく、パーゴラ状の藤棚が上部にかかり、開放的なテラスとしての機能を持つ。
全体的なイメージは、スパニッシュスタイルである。
とは言うものの、下手すれば引っ掛け桟瓦葺の和風に見えなくもない。(笑)
この「スパニッシュ」という言葉には、小生は敏感である。
なにを隠そう、小生はボブ・ディランが大好きである。
そのディランの曲に「Boots of Spanish Leather」という名曲がある。
邦題は「スペイン皮のブーツ」。小生は幼少の頃、スパニッシュという言葉はすべてスペイン皮のブーツのことだとおもっていた。
で、この曲。松本隆先生がずいぶん大胆なことをやってくれた。そう、あの「木綿のハンカチーフ」のことである。
♪ 恋人よ~ 僕は旅立つぅ~
その歌詞の内容たるや「スペイン皮のブーツ」と寸分違わない。違うところといっては、スペイン皮のブーツが木綿のハンカチーフに変わっただけである。
しかしある意味、お別れにいただく品物はブーツよりもハンカチのほうが断然フィットしている。
松本先生は天才である。
ああ、わが青春時代の日本よ! あの頃は平和だったなぁ~。(笑)
今日は話がどんどんそれる。
それで、この旧新井邸は地下を喫茶店として利用している。
公園に面していて、かなりおしゃれな人気のスポットだ。
日曜日ともなれば、若いカップルでいっぱいである。
横浜のデートスポットとして一押しの建物である。
メニューに「干からびたチーズ」があるかどうかは知らないが、まあ、小生にはいずれも縁がない……(泣)
【所在地】 神奈川県横浜市中区山手111 グーグルマップ
3連アーチのポーチコ
公園側から見た喫茶店風景
内観