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建築日誌
■常盤台写真場■    2005年10月14日

断酒をしてからもう一週間以上が経っている。
その間、酒類は一滴も飲んでいない。
20年以上、毎日欠かさず飲んだ酒なのに、意外にやめるのは簡単だ。
でも、このところ、イライラして周囲に怒鳴り散らしてばかりである。
いかん、酒でも飲んで落ち着こう。……というわけに行かないのだから、やはり断酒は成功しているとは言えない。(笑)

というわけで、常盤台写真場。
「江戸東京たてもの園」からのストックである。

竣工は昭和12年(1937)。
復元年は平成9年。
木造モルタル2F建て。
設計者は不詳。
もともと板橋区の常盤台の新興住宅街にあった写真館である。

天才的なモダンスタイルである。
しかも、角地に建てられたものであることがすぐに分かる。
道路に面する2面のファサードは、現代の新しいと言われている建物よりも相当に新しい感覚を持っている。
ミースや、ヴィトゲンシュタインも真っ青である。
前川國男も、見ていたらきっと驚いたに違いない。(笑)

が、しかし、である。
それはあくまでも人通りに面するファサードのデザインだけのこと。
人目に触れない裏の部分は、生活環境を重視した昔ながらの日本家屋である。
たまらない。その割りきりがたまらなく素敵なのだ!

内部は1F玄関を入ると、すぐ脇に応接室がある。
もちろんここは洋風のあつらえ。
市松模様に張られたフローリングと、天井の竿縁がグッドである。
この太い竿縁は、猿頬縁(さるほほぶち)と言って、角の面取りが45度よりも大きいものを言う。

2Fの写場には、大きな側面の採光窓とスラントされたトップライトがある。
こんなところで、結婚写真を撮るのはさぞかし気持ちがいいだろうなぁ~。
いや、小生の場合、写真は残るから嫌ですが。(笑)

全体的に居住空間は和風である。
居間はタタミ敷きであるが、子供部屋の方は窓際に勉強机が向けられている。
ああ、憧れの窓際机!
ご主人はきっと、教育熱心な方だったに違いない。

常盤台写真場 
常盤台写真場・外観(ファサード1)

外観(ファサード2)
外観(ファサード2)

裏側の和風な外観
裏側の和風な外観

側面の採光窓とトップライトのある写場
側面の採光窓とトップライトのある写場

窓際机の子供部屋
窓際机の子供部屋

応接室
応接室(猿頬縁がかっこいい)

和室
和室