■二つの顔を持つ建物―小林商店■ 2005年12月10日
これは、表と裏ではない!
どちらも堂々と、二つの顔を通りに並べている。
レンガ造りの倉庫と構造不明の擬洋風。
小生は、ことさらこのようなハイブリッドな建築が大好きなのである。(笑)
小林商店(深谷市西島)
煉瓦造の倉庫の方は大正元年(1912)の竣工である。
擬洋風の方は、昭和2年(1927)。
見たところ、どちらも現役のようである。
昨今、「三丁目の夕日」などという映画が話題になっているようだが、こんなノスタルジックな建物が沢山出てくるのであろう……
と、小生は勝手に思い込んでいる。(冷蔵庫に頭を突っ込んでいるCMしか見ていない)
煉瓦造の倉庫は、小口積みの瀟洒なデザインである。
特に、庇の鉄製ブラケットは、アールデコ風の円形模様とラチス梁との構成で、2Fの土蔵風観音開き戸との対比がズバ抜けている。
もともとは、砂糖や乾物を納める倉庫であったと言う。
いやー、なかなかお目にかかれない貴重な折衷様式である。
擬洋風の方(事務所棟)は、これまたかなりの力作である。
おそらくモルタルを塗り込んでの装飾であろうが、胴蛇腹やデンテル模様、アーチ窓風の意匠など、相当入れ込んだデザインである。
資料が余り見つからないが、これはきっと掘り出し物に違いない。
鑑定団に出したなら「いい仕事をしてますねぇ~」と、かの中島先生が唸るだろう。(ウソ)
が、しかし、この建物のすごい所はそれだけではない。
三角形の島のように取り残された敷地を、ぐるりと一周して気が付いた。
やはり、裏はあったのだ!(笑)
おそらく、住居であろうと思われる面は、複雑に入り組んだ増改築の跡で痛々しい。
まるで迷宮である。迷いそうである。
まさか、ミノタウルスの住居ではないだろうが。(笑)
石積み(もしくはブロック積み?)のような土蔵風の建物も、どうやら居住空間のようである。
窓がある。はて? 台所の窓であろうか?
うーん、どうしても平面図を見てみたくてならない。
深谷の図書館にでも行けば、見つかるであろうか?
それにしても、煉瓦の壁にくっきりと映った建物の跡は、どう考えても不自然なんですが。(笑)
小林商店・煉瓦造と擬洋風建築
擬洋風棟の玄関
擬洋風棟外観
迷宮のような裏手
土蔵風の住居(?)
煉瓦に写る、くっきりとした影