Isidora’s Page
建築日誌
■塔状住居■    2006年01月19日

♪ きょうのう~ 仕事はつらかったぁ~
あとわぁ~(ジャジャジャン!)焼酎を~(ジャン!)
あおるだけぇ~ ♪ (岡林信康―山谷ブルースより)

いや、別に山谷へ行って来たわけではありませんが、今日はとっても疲れた。
風邪気味です。いや、風邪なのです。
焼酎をあおいで寝られないので、眠りたいけど仕方なく起きてます。(笑)

で、塔状住宅の登場です。(笑いに元気がない)
別名、塔の家。
建築家・東孝光の自邸として余りにも有名なのでちょっと気が引けますが。……
場所は神宮外苑前、通称キラー通りに面する。
マリオ・ボッタ先生の「ワタリウム美術館」のすぐ近くにある。

竣工は昭和42年(1967)。
設計は東孝光。(今東光ではありません)
RC造、打放しコンクリート仕上げ。
地下1F、地上5F。
建築面積:約12平米(3.6坪)
延べ面積:約65平米(19.7坪)
敷地面積:約20平米(6.1坪)
家族3人(夫・妻・娘)で住む。

これぞ、狭小敷地に建つ塔状住宅のプロトタイプである。
この狭い敷地内に、6階分の塔を建て、住む人は上下に動線を操る。
いやはや、限界設計なのである。(鉄筋が少ないのではない!)
いやはや、実験住宅なのである!

都会で狭い敷地に暮らすよりも、郊外へ出て広々とした家に住みたい!
とする、健全なマイホームパパの願望に真っ向から立ち向かった衝撃的作品である。
これは、あくまでも都会に住むための装置なのだ。
とにかく、何もかも挑戦的かつ、挑発的!
個室という概念を捨て、ドアは玄関のドア以外には一切ない。
いいですか、想像して見てください。
一切ないんですよ。(笑)
一切ないということは、一切ないのであって、もちろんトイレにも風呂にも一切ドアはない。(しつこい)
プライバシーは、家族という限定された構成内で最小限に押えられている、という。
上下階に分かれた家族が、いかにしてコミュニケーション、及びプライバシーを確保するか?
そんな、家族のあり方へも一石を投じた建物である。
視線に関しては、塔状に区切ることによって、ある程度遮ることが出来たという。
しかし、問題は「音」である。
色んな音がありますからね、住宅には。……(笑)
お父さんのいびき、お父さんの寝言、お父さんのおなら、お父さんの……この位にしておきますね。(笑)
これが男同士だったら、話は別である。
でも、奥さんと娘さんと住むのだから、それなりに苦労はねぇ~。
もちろん、現役で使用されている。(笑)

とにかく、外壁の打放しコンクリートがすごいのだ!
これぞ、本家・本場の「放ったらかし」コンクリートなのである。(笑)
「そのままでどこがいけないんだ!」
と、先生のお声が聞こえてきそうだ。
そうです、そうなのです。それでいいんです。
人様の財産を使って、自分勝手な好みを押し付ける建築家よりも、自分の家を、自分のお金で、自分で実験材料にするのだから文句は言えない。
まあ、一緒に住む家族の方は、ちょっと気の毒ですが。……
いや、喜んでもらえているようで。(笑)

塔状住居 
塔状住居・外観(その1)

外観(その2) 
外観(その2)

外観(その3) 
外観(その3)

玄関見上げ
玄関見上げ

見上げ
見上げ

「放ったらかし」コンクリート
「放ったらかし」コンクリート