■三菱信託銀行本店ビル(日本工業倶楽部)■ 2006年02月25日
刺青建築、第二弾!
前にヴェルデさんからリクエストがあったので、わざわざ日本工業倶楽部を探険してきた。(恩着せがましく/笑)
というのは真っ赤なウソで(いや、わざわざではないということ)、実はこのビル、東京銀行協会ビルの目と鼻の先にあるのだ。
業界で言う「2本撮り」ってやつですな。(笑)
それにしても、ん? なんじゃこれは!
こっちも、皮をはがれた刺青になっているではないか!
何ということだろう……。
タトゥーの二人は、とっくにロシアへ帰ったというのに。(笑)
「ああ、天は我々を見放した」と、かつて高倉健は言った。
これまで神に命を捧げてきた小生に、ああ! 神は、何たる試練を。……
と、神など一度も信じたことに無い小生には、やはり天罰が下ったというのだろうか。(笑)
とにかく驚いた。
日本工業倶楽部が、刺青を剥がされてしまっていたのだ。
地下4階、地上30階、塔屋1階。
高さ約148m。
三菱信託銀行本店ビルに完全に食われてしまっている。
こちらも設計は、三菱地所。
奇しくも刺青を剥がされた方は、東京銀行集会所と同じ横河工務所・松井貴太郎の設計。
ああ、敵対的買収よ!
運命とは、かくも残酷なものなのか!(笑)
平成15年(2003)の竣工。
学識経験者を中心とする「歴史検討委員会」による保存計画であるという。
はい、分かりました。学識経験者諸兄。
これで「登録文化財としての歴史的景観の保全を図った」というのだから、歴史認識の浅さというものはもはや絶望的前衛である。
日本工業倶楽部。
大正9年(1920)竣工。
RC造、5F建て。
東京銀行集会所とは打って変わって、こちらはネオ・ルネッサンスと、セセッションの混合。
玄関の立派なドリス式オーダーは、当時のアメリカ式オフィスビルの典型である。
松井貴太郎といえば、セセッションである。
しかし、小生の見た限り、実は何でも屋である。(笑)
この建物、解説書などを見ると「近世復興式」などと書かれている。
はて?
戦前の新聞などのデータを見ると、よく「近世式」「近世復興式」などという呼び方が使われている。
同時に「ルネサンス」などとも書かれてあるから、どういう意味で「近世復興式」なのかはなはだ疑問が残る。
内部は、残念ながら入れなかったが、それなりに雰囲気は残されているという。
写真では見づらいが、玄関軒上にはハンマーを持った男と、糸巻きを手にした女の像がある。
当時の二大工業、石炭と紡績を象徴しているらしい。
三菱信託銀行本店ビル(日本工業倶楽部)・全景
正面ファサード
外観
玄関見上げ
ファサード見上げ
食い込んだ日本工業倶楽部