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建築日誌
■龍谷大学本館(旧西本願寺大教校)■    2006年06月23日

飛雲閣がアシンメトリーの傑作であるとすれば、こちらは正真正銘シンメトリーの大傑作である。
これぞ、本格派擬洋風!
ああ、擬洋風を笑うものは、擬洋風に泣く。(笑)

擬洋風の擬洋風たるゆえんは、決して本格ではないことだ!
大切なのは心である。
意気込みである。
ホット・ホットなスピリッツである。

神は、その飽くなき探究心に帽子を脱いだ。
日銀総裁は椅子を蹴る。
「ああ、李下に冠はただすまい!」
叶姉妹はドレスを脱ぐ。
テポドン2号は発射する!(笑)


龍谷大学本館(旧西本願寺大教校)
京都市下京区。(西本願寺のすぐ隣)
明治12年(1879)竣工。
木造2F建て。
設計・施工者不詳。重要文化財。
年代的に言っても、学校建築の草分け的存在である。

この建物、何がすごいかといって、とにかく一見して何かがおかしいのだ。
洗練された和様混淆の不可思議なディテール。
荒唐無稽なインパクト!
まるで、厳格でおっかないステテコをはいた区会議員のようである。

これが本当に木造漆喰塗りの建物であるのか!
見た目はローマ建築である。いや、ルネサンスである。
張り出した車寄、1F部分は重厚な角柱にチューダーアーチを採用している。
なのに、なぜかお寺さんに付き物の懸魚(げぎょ)がある。(笑)
ああ、何たることか!
しかも2Fはフルート付の3本柱で、見事なルネサンス様式を踏襲している。
なのに、なぜか柱頭は唐草模様。
ああ、お寺さんの雲形模様だ!
おまけに深く掘り込んだ天井は、日光東照宮ばりの折上げ格天井。
ああ、なんたることか!
ああ、人生とはこれいかに!!
天は我々を見放した。
「真宗学痒」とはどういう意味だ!(扁額の文字です)

ギリシャ建築を思わせるぺディメントは、日本風な三角破風で飾られている。
やはり、ここにも雲形模様。
デンテル模様は、どう見ても和様の軒先たる木だ。

壁のコーナーは、石を積んだコーナーストーン。
石を積んだ? いや木造ですので薄い石を張ってあるだけです。(笑)
べタッと壁に貼り付いた付柱は、パラッツォーの再来か!
と思わせておいて、中に納まる半円窓はどう見ても寺の窓である。

ああ、並べ立てればきりがない!
道具箱にはカンナがない。(笑)

京都遠征の成果はあった。
これを見られただけで本望である。

ああ、あたしの好きな擬洋風建築よ!
百人乗っても壊れない。
いや、百年経っても、壊れない。(笑)

龍谷大学本館(旧西本願寺大教校) 
龍谷大学本館(旧西本願寺大教校)遠景

近景
近景

車寄せアップ 
車寄せアップ

近代寺院を思わせる窓配置 
近代寺院を思わせる窓配置

渡り廊下 
渡り廊下
堂々たるパースペクティヴ 
堂々たるパースペクティヴ

南棟(?) 
南棟(?)

守衛棟 
守衛棟