Isidora’s Page
建築日誌
■東華菜館(旧矢尾政)■    2006年07月20日

オロナイン軟膏とメンソレータム。
今日のあなたは、……どっち!
と、どこかの料理番組ではありませんが、この二つの薬、小生が物心の付く以前からすでに発売されている。

オロナイン軟膏といえば、近所に住む川高のオバサンによく似た(すいません、個人的な話で)浪花千栄子の顔が頭から離れない。
オロナインを掲げるやさしいおばあさんのホーロー看板は、今でも高値で売られていると言う。
因みに浪花千栄子の本名は、南口キクノ(なんこう きくの)と言うそうで、この音読みがCM採用の決定打になったということである。(笑)

さて、対抗するはメンソレータム。
こちらの主役は年老いた日本人のおばあさんではない。
なんと、ナースキャップを付けた、可愛らしいピチピチ看護婦さんなのである。
年齢不詳ではあるが、秋葉系ロリータの元祖で、いわゆる「リトルナース」の商標は余りにも有名である。(笑)

この両者、どちらが古いのか気になったので、ちょっと調べてみた。
オロナイン軟膏の発売が昭和28年(1953)。
メンソレータムの方は、明治7年(1894)。
やはり、軍配はリトルナースにあがった。(笑)
メンソレータムは、元々米国ユッカ社が発売していたものを、来日した宣教師が日本への発売権を取得して、キリストの教義より多くこれを売りつけたと言う。(笑)
明治38年(1905)のこと。その胡散臭い宣教師の名は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。
なんと、この建物の設計者であるとともに、日本近代建築のトップスター的存在なのであった。(笑)

前説が長くなってしまった。
京都四条大橋近くに建つこの中華料理店は、まあ、京都では知らない人がいないくらい、超有名な建物の一つである。
小生は大阪孤独時代(今でも孤独ですが)、打ち合わせの帰りのたびにここでギョーザとチャーハンを食べていた。
大して高くもなし、大して美味くもない。(笑)
とにかく、建物が面白く、古めかしいアコーディオンドアのエレベターに乗って(シンドラー社じゃないと思う)、上階の一般客席へ行くのが楽しみであった。
もちろん、内緒でビールも飲みました。(笑)

竣工:大正15年(1926)。
設計:ヴォーリズ建築事務所。
施工:大林組。
RC造5F建てである。

竣工時は、南フランス風のレストランで、当時70万円というとんでもない(よく分かりませんが)巨費を投じた建物であったらしい。
戦後まもなく、東華菜館として現在に至っている。
デザインはスパニッシュ風バロック。
随所に、貝殻だのヤギだのタコだのと、面白いモチーフで装飾されている。
加えて、川床に張り出された座敷や、ビアガーデンの日よけなど、京都的デザインも加味されてなかなかもって痙攣的である。(笑)
このときは通り過ぎただけでなので、残念ながら中は見られなかった。
おまけにISO感度を間違えて、無茶苦茶粗い画像となったが我慢して見てください。

因みに川床は涼しくて気持ちいいですが、蚊が多いので「キンカン」をお忘れなく。(笑)

東華菜館(旧矢尾政 
東華菜館(旧矢尾政)外観(その1)

外観(その2)
外観(その2)

外観(その3) 
外観(その3)