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建築日誌
■旧第一銀行横浜支店■    2006年10月22日

「打てば響く」という言葉があるが、世の中には打っても蹴っても響かないものが沢山ある。
たとえば某パソコンメーカーのテクニカルサポートセンター。
ここは、半日電話を掛けっぱなしにしていても音声ガイダンスしか繋がらない。(笑)
あるいは、病院の清算窓口。
先月、とある持病で病院へ行った際、なんと受付で一時間も待たされた。
挙句に診察はたったの5分で、帰りは清算窓口から一向に呼出しがない。
もういいのかと思って黙って帰ったのだが、昨日病院へ行ったら、なんと先月の分もちゃんと清算された。
今時「つけ」が利く病院ってのも珍しい。(って、そういう意味じゃない/笑)

打てば響くということは、大変に小気味が良いことなのだが、場合によっては困る場合もある。
マンションの戸境壁、通夜の席での携帯電話、あと……
あとはここ、旧第一銀行横浜支店(現BankArt 1929 YOKOHAMA)もその一つである。
現在はセルフサービス専用のカフェ兼アートスペースとなっているが、造りが豪華すぎてテーブルにカップを置いただけでも轟音が響く。(ちょっと大袈裟かな?) 
こんなところでは他人の悪口は言えないなぁ~。
まるで、ウイーン少年合唱団のために造ったような建物である。(笑)

竣工は昭和4年(1929)、設計は西村好時、施工は清水組、RC造、3F建て。
文句なしの新古典主義である。
三角形の敷地に配され、頂部にアールを持ってくる典型的な手法。
ああ、渋谷の109のさきがけを行く。(笑)
4本の円柱は、ローマ時代に流行ったトスカナ様式。
軒のデンテル模様も本格的だが、手摺がちょっと和風である。
あら? 天井にぶら下がったランタンも、どことなく和風だなぁ~。(笑)

設計者の西村好時は、かの「清風亭」を設計したその人である。
曽禰中條事務所、清水組を経て第一銀行の建築課長となった人物であるから、かなりの数の第一銀行の本・支店を手がけている。
まあ、銀行建築のパイオニア的存在である。

この建物、内部が一段とゴージャスで、床、壁、天井とも総天然石張り。
ってのはウソで、柱と天井は漆喰塗りでした。(うーん、この組み合わせが吸音率ゼロの原因か?)
白亜の殿堂と言えば聞こえがいいが、どちらかというと井上陽水の「氷の世界」に近い。(笑)
しかしこんなに音が響いては、窓口でお金を下ろすのもちょっとためらわれるだろうなぁ~。
そうやって、銀行にはお金がどんどん溜まって行ったのかしら。(笑)

旧第一銀行横浜支店 
旧第一銀行横浜支店・全景(その1)


 正面
正面

玄関 
玄関
内観(その1) 
内観(その1)

内観(その2) 
内観(その2)

玄関 
玄関