Isidora’s Page
建築日誌
■旧歩兵第三連隊兵舎■    2007年01月30日

「女性は生むための機械である。」
柳沢厚労大臣の言葉が波紋を呼んでいる。
失言である!
釧路湿原ならともかく(笑)、少子化対策の旗振り役、厚労大臣の失言とあってはただでは済まされない。
かつてコルビュジェはこう言った。
「住宅は住むための機械である。」
まさか大臣が、「住むため」と「生むため」をもじったとも思えないし。(笑)
大臣、コルビュジェ知ってるかな~?
こうなったら、早々に退任するしかないだろうな~。(笑)
……と、枕とは全く関係有りませんが、以下本題。(笑)

国立新美術館を建設するに当たり、また一つ、貴重な歴史的建築物が取り壊された。
まあ、「貴重な歴史的建築物」などと言っても、畢竟、建築史家と身勝手な保存運動を訴える良識人から見ての視点である。(いや、この言い回しはまずいぞ!/笑)
保存すべきか?
それとも解体して新築すべきか?
この選択は、未来永劫続く建築の宿命である。
きっぱり言う!
これを、当代一流の建築家に選択させてはいけない!!
だって、解体して新築すべきだと言うに決まっているでしょ。(笑)

旧歩兵第三連隊兵舎。
昭和3年(1928)竣工。
RC造、地上2F、地下1F。
設計は第一師団経理部。
施工は村松組。
と言ってもピンと来ないかもしれない。
東京大学生産技術研究所。
この方が分かりやすい。
この建物、在日米軍の接収後、昭和37年(1962)から東大の研究所として使われていた。

国土交通省は初期の段階で、何とかこの建物を全面的に保存して美術館に再利用できないか?
と提言していたという。(偉い!)
しかし……
「いんや、構造上、耐震性を満足しておりまへんから。……」
と、この案はすぐに却下された。(笑)
昭和11年2月26日未明。
この建物の中庭で歴史的な事件が起きる。
そう、神戸モロゾフ洋菓子店が、英字雑誌に日本初のバレンタインチョコレートの広告を出す!
あれ?
す、すいません。
間違いました。(汗)

静かに積もった雪の中を、青年将校たちが東京市中へと密かに姿を消していった。……
そうです。
あの事件です。
あの、2.26事件のが、この建物の中庭から始まったのです。(笑)
歴史の証人である。
この重要な建物を、そうやすやすと解体してもいいものか?!
と、お怒りのお方も多いでしょうが、まあ、語るべきはこのくらいで、建築的には「取り壊してもいいかな~」と言うのが正直な意見である。(笑)
アールデコ調のデザインと、緩やかな曲線を加えた外観。
「日」の字をかたどった配置など、まあ、それなりの近代建築であるけどね。(笑)

表参道ヒルズで、安藤忠雄が取り壊した同潤会アパートの一部を保存した。(いや、実は造り替えたのですけど/笑)
これについては、まあ、その~、何と言うか~(笑)
そこで黒川先生。
元の旧歩兵第三連隊兵舎を、どのように保存するかが周囲から期待された。
結果がこれである!
見てくれ!(笑)
薄皮一枚を残したファサードは、新美術館の敷地外に持って行き、裏側は太鼓腹のようなカーテンウォールで造り替えてしまいました~。(笑)
どうりで、いくら探しても見つからないと思いましたよ。
これじゃ、残さないほうがまだマシなのでは?
いやいや、これは失言でした。(笑)

旧歩兵第三連隊兵舎
旧歩兵第三連隊兵舎

旧歩兵第三連隊兵舎

旧歩兵第三連隊兵舎

旧歩兵第三連隊兵舎
旧歩兵第三連隊兵舎

国立新美術館・旧歩兵第三連隊兵舎