先日、次の人間国宝とされる文楽大夫の一人が、積立金を横領したかどで告訴されるというニュースをやっていた。
人形浄瑠璃の世界も厳しいらしく、国宝級であってもその年収は1,500万円程度だという。
う~ん、高いのか安いのか?
少なくとも、ヒルズ族と呼ばれる中年実業家の年収と比べれば雲泥の差だろうね。
もしかすると人間国宝になるよりも「そんなの関係ね~! オッパッピー!」 と一発飛ばした方がはるかに儲かるに違いない。(笑)
――と、何ともローテンションな書き出しで申し訳ございません。(ぺこり)
人様の年収など、それこそ「そんなの関係ね~!」でございますね。(笑)
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さて、国宝つながりということで、全国の国宝建造物の数をちょっと調べてみた。
文化庁のホームページによれば、現在その数は257棟にも及ぶという。
う~ん、これも多いのか少ないのか?
ちなみに日本の世界遺産の数を調べてみると、建造物だけでもざっと60棟以上もあった。
「どんだけ~!」
って、この流行語はこういう使い方でよろしいのでしょうか?(笑)
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では、東京都内にある国宝建造物は「どんだけ~」あるのでしょうか?
答えは子連れ狼。
いや、拝 一刀(おがみ いっとう)。
いやいや、たったの1棟(いっとう)だけなのである。(笑)
思ったよりも少ないでしょう?
こんなに少なくては「どげんかせんといかん」ですね。
と、流行語大賞は一応言っておかなきゃね。(笑)
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正福寺地蔵堂。
応栄14年(1407)建立。
一重裳階(もこし)付き。(おばあさんのおこしとは違います)
入母屋造り、柿葺き、裳階銅板葺き。
禅宗様(唐様)仏殿。
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さすがに国宝級である。
素晴らしいの一言!
いや、一言じゃ終わりませんが。(笑)
なんといっても、この軒の大胆な反り具合が魅力なのである。
そう、横浜関帝廟並の強烈な反りでしょう?
というのも、この建物は禅宗様(ぜんしゅうよう)=唐様(からよう)といい、それまでの国風化されてきた和様(わよう)と一線を画するデザインなのだ!
それまでって、どれまでよ~?
と聞かれそうなのであらかじめ説明しておきますが、奈良時代から平安時代にかけてのこと。
ん? 誰も聞かないって。
まあまあ、とにかくずいぶん昔のことだと思っていただきたい。(笑)
鎌倉時代に入って、この禅宗様(唐様)と大仏様(天竺様)の二大様式が輸入され、以後日本の建築様式に一大センセーションを与える。
はい、そこのあなた。
ちゃんとメモ取ってる?(笑)
この正福寺地蔵堂は、いわば唐様のプロトタイプとも言うべき建築で、コンパクトではあるがその特徴をよくあらわしているのよ。
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まあ、誰も興味はないと思うが、以下少し解説。
って、そういえば宗男が学生の時も、建築史の先生はいつもこう自虐的に言っていたなぁ~。(笑)
まず写真ではよくわからないが、軒の垂木(たるき)を「扇垂木」(おうぎたるき)としていること。
これは唐様の最大の特徴なのである。
「写真でよくわからないんじゃ意味ね~よ~」 と、おっしゃるあなた。
はい、その通りでございます。
大変申し訳ございませんでした。(笑)
では、写真でよくわかる部分を説明いたします。(ぺこり)
上の写真、クロゼットの扉のように折りたたまれているのを「桟唐戸」(さんからど)という。
ご主人が夜な夜な観音様を拝むとき、このように両足を開くので、いや、両方に開くのでこういうものを「観音開き」というのです。
いやー、奥さん!
わかりやすいでしょう~。(笑)
そして、その両脇にある入口(大きい方)を「火灯口」(かとうぐち)。
小さい方は「火灯窓」(かとうまど)で、どことなくろうそくの炎の形を思い起こさせるでしょう。
これが反乱をおこせば「加藤の乱」と言いますが、いや、これはちょっと古すぎましたね。(笑)
桟唐戸が閉まっているところ(観音様も閉じてしまいました)
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この観音様の上に、ちょうど枡のような形をしているものがあるが、これを「斗きょう」(ときょう)と呼び枡(ます)。
英語で書くと「tokyo」となりますが、関西にもたくさんありますのでご注意ください。(笑)
その下に、まっすぐ横に通っている部材を「台輪」(だいわ)と言います。
最近、外張り断熱のCMで話題となっているのは「大和ハウス」で、この台輪が沢山使用されていると聞きました。(って、嘘ですよ~)
問題はその下にある乾いたインスタントラーメンみたいな模様で、これを「波型連子」(なみがたれんじ)の「弓欄間」(ゆみらんま)と言います。
ガスレンジはよく見るでしょうけれど、こういう欄間はあまりご家庭では見かけませんね。
これも、唐様の特徴の一つです。
壁は「縦板壁」(たていたかべ)といって、漆喰や砂壁とせず板を縦に張ったもの。
「立て板に水」という言葉がありますが、まったく関係ありませんので友達には話さないでくださいね。(笑)
火灯窓と火灯口と縦板壁
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と、まあ、説明すればきりがありませんのでこのくらいにしておきます。
とにかく唐様は、ものすごく繊細でスマートでメタボとは正反対な様式の建物です。
みなさん!
ちゃんとメモは取ったかな?(笑)
そうそう、場所について話さなくてはいけませんね。
東京都唯一といっても、実は場所は東村山なんです。
♪ 東村山ぁ~ 庭先きゃ~ 多摩湖~
と、この歌知ってる人は何人いるでしょうか?(笑)
えっ!
東村山って、都内でしたっけ?
と、疑問を投げかけるあなた!
はい。
どうやら都内ではあるらしいのですが、大変に森閑とした寂しいところでございます(笑)
国宝だというのに、お客さんは写生をしているおじさん一人だけ。
加えて、何時間も唸りながら写真を撮っている妙な男……。
まったく、この状況こそ「どげんかせんといかん」ですね。(笑)
【所在地】東京都東村山市野口町4-6-1 グーグルマップ
正福寺地蔵堂・正面
全景その1
全景その2
全景その3
遠景
おまけ・立派な乳金物(ちちかなもの)。
これは唐様の特徴ではありません。(笑)