Isidora’s Page
建築日誌
■旧佐伯祐三邸■    2008年04月30日

その昔、「ケンタッキー・フライド・ムービー」という映画があった。
内容は、まったく覚えていない。
「内容がナイヨ~!」
って、すいません。(ぺこり)
とにかく、馬鹿げた映画だったということだけは記憶している。(笑)

それから、「下落合焼きとりムービー」という映画もあった。
こちらは、日本映画である。
監督は山本晋也。(今では文化人に変わっているなぁ~)
タイトルは、あからさまな「ケンタッキー・フライド・ムービー」のパロディーなのだが、悲しいくらいの駄作であった。
同じく「内容はナイヨ~!」 である。
しかし、今考えると、ものすごい豪華キャストだったなぁ~。
なんだか、また見たいような気がしてきた。(笑)

さて、久しぶりの更新である。
佐伯祐三の旧家。
この建物、西武新宿線の「下落合」から15分ほど歩いた場所にある。
いや、単なる「下落合」つながりだけで、映画の話題とは全く関係ありません。(笑)
そういえば、学生のころ同学年に落合君という友達がいた。
いまでもたまに飲んだりする。
たしか落合君は「下井草」に住んでいた、と勝手に記憶している。
井草君という人もいて、こちらは「中落合」に住んでいた。
……と思う。
記憶は交錯しているかもしれない。
しかし、「下落合」と聞けば、宗男は必ず「下落合焼きとりムービー」と落合君と井草君のことを思い出すのだ。(笑)

……すいません。
また話がそれました。
旧佐伯祐三邸。
木造2F建て。
設計は、佐伯祐三本人(らしい)。
大正9年(1920)竣工。
佐伯公園内。
閑静な住宅街の露地奥に、ひっそりと佇んでいる。

佐伯祐三といえば、若くして夭逝した天才画家、いや、若くして亡くなるから夭逝というのであって、年老いて夭逝したとは言わないな。(笑)
日本のブラマンクと呼ばれたくらい、フォービスムの画家ブラマンクに傾倒し、渡仏して師事したという。
この建物は、佐伯祐三自身が、仲間の手助けを得て自ら建てた家だと伝えられている。
どう手助けを得たのか知らないが、若干22歳の若さで家を建てるとは、まあそれなりの人物なのである。(笑)
婦人が没するまで住んでいたが、後に新宿区が買収して「佐伯公園」として開園され、建物が保存された。
公園にする際解体されてしまったが、敷地内には和風の住居部分があったらしい。

さすが天才画家らしい、センスのいいアトリエである。
でも、少しもフォービスムでない。(笑)
急勾配の切妻屋根に、清楚な南京下見板張り。
細長いリズミカルな位置にある3枚のドアは、解体された和室へつながっていたのであろう。
どう考えてもおかしな位置にある。(笑)
その上にあるドアも、面白い。
アトリエの小屋裏から、和室の屋根にでも出たのだろうか?
なんとも酔狂な画家のようだ。
特筆すべきは、北側の開口部。
妻壁をめいっぱい占領したこの窓は、当時としては相当ハイカラだったんだろうな。
中で裸婦像なんかを描いていたら、近所の子供たちがキャーキャー言って覗き込んだかもしれない。
と、バカな想像をしてみる。(笑)
西側の屋根にもトップライトがあって、この画家は相当光を好んだようだ。

この佐伯公園は、小さいながらもとっても素敵な公園です。
可愛らしい花壇と、いくつかのベンチとこの建物があるだけですが(簡易トイレもあったな)、恋人同士で静かな時間を過ごすにはうってつけです。
いつ行っても、誰もいませんし~。(笑)
えっ!
宗男はどうしたかって?
いや、その~
駅前でケンタッキーを買って、一人で食べてましたよ。
……って、これはウソだろ。
いや、一人ぼっちなのは本当だけども。(笑)

【所在地】東京都新宿区中落合2-4-22 グーグルマップ


旧佐伯祐三邸 
旧佐伯祐三邸・細長いリズミカルな位置にある3枚のドア

旧佐伯祐三邸
斜めアングル

旧佐伯祐三邸
ひっそりとした佇い

旧佐伯祐三邸

旧佐伯祐三邸
北側の妻壁をめいっぱい占領した窓

旧佐伯祐三邸 
北側の妻壁の窓

旧佐伯祐三邸
便所の窓だろうか?

旧佐伯祐三邸
南京下見板(鉄砲の跡ではありません)