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建築日誌
■旧秩父鉄道秩父駅■    2008年09月03日

ちょっと鰻絵(うなぎえ)が続いたので、場所移動です。
ん?
いや、鏝絵(こてえ)でしたね。
失礼いたしました。(笑)
ここは秩父。

旧秩父鉄道秩父駅舎。
竣工:大正3年(1928)。
木造平屋建て。
設計:坂本朋太郎。
施工:不詳。

西部秩父駅を下りて北へ小1時間ほど歩いたところ。
人里離れた山の頂上に、秩父聖地公園がある。
おお!
秩父オタクの聖地か?
と思っていたら何のことはない、単なるお墓の公園だった。(笑)
平たく言えば、墓地ですね。
ぼちぼちでんなぁ~。
って、大阪弁じゃありませんけど。(笑)

どういう訳だか、その公園墓地に秩父駅がある。
いえ、どういう訳なのか本当は知っているのですが、まあ、そんなこんなで。(笑)
駅舎はあるものの線路はない。
あるのは先祖のお墓ばかり。
なぜなら、墓地に駅舎を建てたから。
って、当り前ですよね。(笑)
ここへ移築復元したのは、昭和59年(1984)のこと。
移築された当時は市立民族博物館として利用されていたという。
経緯はわからないが、向かいにある民族博物館の本館も今では廃墟同然となっている。
市の経営だというのに。……
どうやら墓場だけに、運営が「はかばかしく」行かなかったらしい。(笑)

秩父鉄道の前身は、上武鉄道(じょうぶてつどう)という。
上武があるなら下武もあるだろうと思ってみたが、調べがつきませんでした。(笑)
明治32年の設立で、大正5年に秩父鉄道株式会社に改称。
この駅舎は、秩父鉄道になる直前に建てられたものである。
設計者の坂本朋太郎博士は、秩父生まれということだけであとはよく知らない。
しかし、博士と名がついているからきっとお茶の水博士のお友達に違いない!
って、これはものすごい思い込みですね。
しかも、お茶の水博士って実在しないし~。(笑)

デザイン的には、隅角部に弓型の筋違い(すじかい)のハーフチンバーを用いた、スティックスタイル風の清楚な様式である。
大屋根のトップライトと、玄関ポーチの半切妻屋根の対比がなんともキュートなのだ。(笑)
窓上の小壁に斜めに張った板張りがリズミカルに踊っているが、ここはもともとあった漆喰壁を隠したもの。
裏にはびっしりと鰻絵(うなぎえ)、いや、鏝絵(こてえ)があるかと思ったらそうではない。(笑)
トップライトの採光(さいこう)に加え大きな窓からの採光も充分で、今世紀最高(さいこう)の出来栄えである!
って、これ、よく使うネタなんですけどね。……
しかも、今世紀じゃないしね。(笑)
山間部にある駅舎としては、当時としてはものすごくハイカラだったことが予想される。

実はこの駅舎の隣に、旧大宮学校が建っていたはずなのである。
残念ながら、宗男が行った時には跡形もなく消えていた。
さては、マリックの仕業か?
と、本気で思ってみたがそうではない。(当たり前だ)
設計者はポスキューというフランス人で、外人が見よう見まねで日本風に似せたもの、いわば逆擬洋風建築の傑作だったのである!
何というか、ひと昔前のハリウッド映画に出てくる日本人のような、まあ、そんな建物だった。(笑)
その、へんてこりんな建物が見当たらない。
どうしてだか知らないが、とにかく建物は存在しないのだ!
こちらも墓場だけに、「はかばかしく」いかなかったのだろうか?
と、ついつい「ばかばかしい」思いにかられてしまう。(笑)
――PS――
ああ、もう3時を過ぎている!
墓地だけに、ぼちぼち眠ります。(笑)

【所在地】埼玉県秩父市山田990 グーグルマップ


旧秩父鉄道秩父駅 
旧秩父鉄道秩父駅

旧秩父鉄道秩父駅
大屋根のトップライトと玄関ポーチの半切妻屋根の対比の妙


玄関ポーチ

旧秩父鉄道秩父駅
玄関ポーチ天井

旧秩父鉄道秩父駅
背面

旧秩父鉄道秩父駅 
隅角部に弓型の筋違い(すじかい)

旧秩父鉄道秩父駅
窓上の小壁に斜めに張った板張り

旧秩父鉄道秩父駅
こっそり中を覗いてきました。(笑)

旧秩父鉄道秩父駅
お墓からの眺め