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建築日誌
■橋戸稲荷神社■    2008年09月16日

ここは、足立区千住のとある神社。

橋戸稲荷神社 

一見、普通の神社である。
いや、二度見ても普通の神社である。
いやいや、三度見ても普通の神社である。(笑)

橋戸稲荷神社

って、すいません。
なにも普通を強調しているわけではないのですが、余りにも普通なもので。(笑)
ついでに、もう一枚普通の写真を。

橋戸稲荷神社

いや~、見事に普通ですね~。(笑)
ん?
宗男が建築日誌で取り上げるのだから普通なはずがないって?
はい、そうなんです。
実はこの神社、お稲荷様なのにキュウリを供えるんです。
……って、それは嘘です。(笑)
供えるのは普通の油あげです。(きっと)
では、どこが普通ではないかというと……。
はい。
それは、この奥にあるんです。
皆さんのお宅も、普通じゃないものは奥にあるでしょう?
「……奥様」なんて。
いや、これは余計でした。(笑)
この神社、奥にある本殿がちょっと普通ではないんです。
ではもったいぶってないで、御開帳といきましょう!

橋戸稲荷神社 普通じゃない土蔵の本殿

ジャジャ~ン!!
いかがでしょう!
まったくもって、見事なものです!!
えっ?
普通じゃないかって?
いや、これは断じて普通ではありません。(きっぱり)
この本殿は、何と漆喰で塗り固められた土蔵造りなのです。
はい、見れば分かりますね。(笑)

橋戸稲荷神社。
拝殿は文久2年(1862)の建立。
本殿は延徳2年(1490)の創建と古いが、現在の本殿は安政6年(1859)という棟札が残っている。
設計・施工共に未詳。
本殿は、本瓦葺、寄せ棟造り、平入り。

土蔵造りの本殿は珍しく、足立区ではここが唯一であるという。
区の有形文化財である。
どうです?
普通じゃないでしょう。(笑)
しかし、普通じゃないのはこれだけではないのです。
なんと、この土蔵には埋蔵金が……。
とかなんとか言うだろうと思いましたね。(笑)
いや、違うんです。
この閉ざされた土蔵の扉には、何とあの「鏝絵」(こてえ)があるんです。
しかも、それがあの伊豆の長八の名作「三匹の親子狐」なのである。

橋戸稲荷神社 扉左側

橋戸稲荷神社 扉右側

いかがでしょう?
土蔵の扉は閉じられて中は見られませんが、拝殿の前にパプリカ、いや、そのレプリカが飾られております。
ガラス張りなので反射して分かりにくいでしょうが、扉の下の方に確かに狐が絵が。
上の写真は扉の左側で、母狐と子狐がチューをしようとしているところ。
いや、そんな解説はありませんね。(笑)
下の写真は扉の右側で、父狐がそれを見守っております。
背景にはどちらも稲穂が飾られてあり、扉上には腹が減らないようにと三つの饅頭が備えてある。
いや、違いますね、これは宝珠かな? (笑)
稲の豊作を祈願したものと思われ、水害に苦しんだ農民の願いが込められているとのこと。
それにしても、いい仕事してますね~!

橋戸稲荷神社  母子の拡大図(耳の中がリアル)

橋戸稲荷神社 父狐の拡大図(舌が二枚)

長八がこの土蔵の扉に鏝絵を描いたのは文久3年(1863)、拝殿建立の翌年のこと。
つまり、拝殿の建設にあたって、もとからあった本殿の扉に鏝絵を描いたものと思われる。
年譜をたどると、長八48歳の時である。
うなぎで言えば、脂の乗ったいい時期である。(笑)
関東では、長八の鏝絵は関東大震災や戦災で焼失したものが多く、現在残っているものは大変貴重なものである。
しかも、この白狐は、絶品中の絶品!
鏝絵(こてえ)だけに、「固定(こてえ)資産税」が高くつくらしいが。(笑)
伊豆へ行かなくても、東京で長八が見られるのは超ハッピー!
すいません。
他に品川などにあると聞くが、また改めて散策にまいります。

【所在地】東京都足立区千住橋戸町25 グーグルマップ