信州信濃の新そばよりも、あたしゃあなたのそばがいい……!!
あら、皆様大変お久しぶりでございます。
宗男でございます。(ぺこり)
パリーをUPしましてから、怒涛のごとく仕事が舞い込んで、お返事もせぬままに放置してしまいました。
まことに、申し訳ございません。
もう、1月も10日も経ちまして、いまさら正月気分でもございませんが、改めてあけましておめでとうございます!
本年も、よしろく……
いや、よろしくお願いいたします。(ぺこり)
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さて、ここは川越の有名なお蕎麦屋さん「百丈」(ひゃくじょう)です。
今年の正月は帰省しなかったので、年越しそばならぬ、年明けそばを食べに川越まで出向いた。
いや、本当はうなぎを食べに行ったのですが、どこも満員ですでに売り切れ状態。
すぐそばにそば屋があったので、そばにすることにしました。(笑)
ここのそば屋も、正月早々大変なにぎわいである。
「あたしゃ、あなたのそばがいい……」?
なんてカップルが、老若男女を問わず、そばに寄り添ってそばを食べておりました。(笑)
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『百丈』(旧湯宮釣具店)
竣工:昭和7年(1932)頃。
※昭和5年(1930)としている資料が多いが、『川越市の文化財』(川越市教育委員会発行)平成14年 第6版では、昭和7年としている。因みに文化庁のホームページでは、昭和9年以前としている。
大工:榎本勇吉。
鳶頭:横田萬吉。
左官:亀田亀吉。
以上、勇吉・萬吉・亀吉のめでたい「三吉」トリオ。
木造3F建て。
外壁銅板葺。
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これぞ、典型的な看板建築である!
このお店、元々は「湯宮釣具店」という釣具屋さんであった。
その証拠がこれ!↓
「具」の字が欠けて具合が悪いが(笑)、まちがいなく「つり具」と読める。
三代目、湯宮利助によって上棟されたと言う。
利助さん、なかなかの通人である。
いや、勇吉・萬吉・亀吉の花の「三吉」トリオが通人なのか?
「具」の音もでないデザインに、ただただ驚嘆するばかりだ。(笑)
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ファサードは、ルネサンス様式のごとく2層と3層のデザインを変えている。
しかも、すこぶる粋で、絶妙な怪しさを含んでいる。(笑)
2層目は、みたことのないエジプト風のオーダーに、これまた風変わりな台形型のペディメント。
まるで、ところてんを押出したようにおしゃれな意匠である。
2層目ファサード
3層目は、列柱を省いた壁面に、オーソドックスな櫛形ペディメントの三連窓。
3層目ファサード
「つり具」側は、肩肘の張ったハンガー型ペディメントと言う、パリ・コレ風のモダンなデザインだ。(笑)
壁は一文字葺きの銅板とやや単調ではあるが、2層目のエジプシャンな柱頭をより引き立てる役目を果たしている。
おまけに、軒天井にまで花柄模様が施されており、見上げればそこにパリがある! といった具合。
う~ん、バランスと言うものをよく理解した傑作であるなぁ~。
個々に見ればでたらめであっても、なぜか全体的に見ればルネサンスに見えるから不思議なものだ。
これぞ、魔術的建築の傑作である!(笑)
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この建物、釣り具店の具合が悪くなってから、しばらくの間空き家となっていたという。
その後、平成9年(1997)に今の蕎麦屋に改装され、平成11年(1999)には、有形登録文化財に指定されている。
店の屋号は「百丈」である。
お店のホームページによると、百丈懐海(ひゃくじょうえかい)という唐代の禅僧の名前からとったものらしい。
国家権力の保護に頼らず、自ら耕し、自ら食うと言う自立精神を護持した人物とある。
よく知らないが、まあ立派なことだ。(笑)
☆
ちなみに、百丈の「丈」(じょう)とは、尺貫法で言うところの10尺の長さに当たる。
1丈=10尺=約3.03m。
鴨長明の『方丈紀』は、長明が晩年に過ごした「方丈」の庵で書かれたことに由来する。
「方丈」とは、1丈四方の大きさのことで、約3.03m×3.03mの広さのこと。
4畳半(約2.73m×2.73m)よりも一回り大きいが、言うなれば『方丈紀』は、4畳半文学のさきがけとも言うことが出来るのだ。(笑)
いや、これは蛇足である。
蛇足ついでに言えば、たぬきの8畳敷という言葉がある。
こちらは「丈」ではなく「畳」(じょう)である。
すなわちたぬきのアレは、8畳敷(約3.64m×3.64)もあるようだ。
これはすごい!
鴨長明も、たぬきには及ばないと言うことか?(笑)
♪ たぬきもきつねもいいけれど~ 鴨もおそばにいてほしい~
お粗末でした。
【所在地】埼玉県川越市元町1-1-15 グーグルマップ
旧湯宮釣具店・正面
斜めアングル
見上げ
二層と三層のファサード