神林作品ガイド⑦★ショートショート★
以下の作品はコンピュータ&ゲーム雑誌に掲載されたもので、超未来のコンピュータ、ロボットもののほか、近未来風設定でコンピュータ的テーマを取り扱う、一人称による語りものが多い。一部を『麦撃機の飛ぶ空』に収録。
「殺亜人」
アンドロイドを使って妻の殺害をたくらむ夫。だが……。前掲作と同じで、あまりにもお決まりなパターンであるため、殺すくらいなら離婚すればいいのに、とどうしても余計なことを思ってしまう。よほど金のからむ話なのか? とかね。
「コントールVer5.0」
コンピュータ・ソフトのリプロが得意なコンピュータ関連の修理屋の話。「怒髪」という、絶対にクリアできないゲーム・ソフトが出て来たりする(ショートショート「怒髪」は前年に発表されている)。精神安定プログラムをめぐる皮肉の利いた話。
「マザー・コンピュータ」
宇宙船に勤務しているコンピュータ心理医療士の話。船を動かすマザー・コンピュータの病症と治療の一例。おもしろいけど、でも子供がいなくなったらすすり泣きではすまなくて、半狂乱か号泣で、船がヤバイような気がする。
「ミッドナイト・ラブコール」
会社の金を持って遁走したソフトウェア、マリーの行方を追う物語。恋の寓話。
「CATS」
言語的にやたら四角四面になった男の謎。精神科医のところにいるコンピューター支援思考システムCATSが語る。
「でも……」
コンピュータと付き合いすぎて、人間どうしの感情的な触れ合いが出来なくなり、感情コントローラに多くの人がお世話になっている時代。古風な女性が、今様の男性との悩み多き恋愛模様を語る。
「未来の化石」
未来予知研究所に通う彼は現在の情報によって未来を予測するという仕事をしていた。あるとき海の中から奇妙な物体が発見され、その頃から未来予知が狂い始めた……。
「病院にて」(水谷啓一名義で編集部の冗談コメントがついている)
病因へ見舞いに行った語り手が不条理な体験をするもの。