Isidora’s Page
建築日誌
■東京都復興記念館■    2005年12月19日

ついに、チャーリーからの指示が途絶えた。
連絡しても返事がない。
あまり強く催促したからだろうか?
チャーリーは、少し気が弱い。
エンジェル諸君は、少し気が強い。(笑)

で、昼間から日記更新です。
外が明るいので、ちょっとやりにくいなぁ~。(なんだか、プチ罪悪感)

東京都復興記念館。
いま、流行の鉄筋コンクリート造2階建て。(笑)
昭和6年(1931)竣工。
伊東忠太と佐野利器の共同設計である。
デザインは忠太が担当、構造は利器が担当したと思われる。
分かりやすく言えば、平成設計と姉歯建築士事務所の関係と同じである。
いや、たとえが悪かったか。
でも、意匠と構造屋との関係はこんなに古くまで遡れるのだ。……(笑)

   ★       ★       ★

先日、某建物で雨漏りがあって、その調査の帰りに寄ってみた。
(設計屋の仕事は、何も鉄筋の量を減らすことばかりではない)
設計屋にとって、地震と台風と大雨は天敵なのである。(雪も同じだとヴェルデさんから指摘があった)
同じ雨漏りでも、雨は屋根ばかりから漏れるものとは限らない。
外壁や、基礎、軒先、サッシュ廻りと、さまざまなところから雨は侵入する。
まったく、泥棒と同じである。
原因を見つけるのはそう容易くない。
だから、自分も泥棒と同じ視点に立って調査しなければ……
と、まあこの話はどうでもいい。(笑)

復興記念館の話であった。
この建物は、東京震災事業協会が、大正12年に起きた関東大震災の惨事を永く後世へ伝える目的で建てたもの。
震災記念堂』(現、慰霊堂)の付帯施設として建てられた。
こちらも、設計は伊東忠太である。
『震災記念堂』は別項を設けるつもりなので、まずは復興記念館から紹介してみたい。

建物の様式はロマネスクである。
と言いたいところだが、残念ながら戦意高揚を目的とする「帝冠併合式」である。(通称「帝冠式」)
建物の性質上、いや、時代の流れから言ってこれは妥当な選択である。
シンメトリーなスクラッチタイルのマッスに、帝国日本風の重厚な瓦屋根が載っている。
実に、すばらしい! 実にセンスがいいのである。(笑)
ちょんまげ頭に燕尾服。
こうして日本は、鬼畜米英と戦ったのだ!
(アメリカと日本が戦争したことを知らない若者よ、聞け!)

と、すぐに話がそれてすみません。
それにしても、伊東忠太の建物はとにかく変なものばかりなのである。
決してセンスは良くない。いや、悪くない。(笑)
とってもとっても、不可思議なのである。
相当な変人であったと耳にする。
お化けや妖怪の研究でも名が知れている。

ご他聞にもれず、この建物にも妖怪が棲んでいる。
いや、これは怪獣だろうか?
このような遊びは、西洋ではロマネスクからゴシックへと続く歴史の中に登場してくる。
いや、本家では遊びではなく目的は宗教である。
忠太は、これを遊びに採用した。
と、小生は常々思っているが、真相はわからない。
怪獣にでも聞いてみようか。
と思ったが、この怪獣、経年変化のために口がない。(笑)

中に入って驚いた。
いや、展示の品に驚いたのではない。
なんと、トップライトがあるのである。
このどっかと載った帝冠式屋根の建物に、トップライトがあるとは俄かに信じがたい。
奇跡である。見事である。さすがに忠太と利器である!
と、思わず奇声を上げて見た。
どうやら屋根は、周囲だけに瓦が載っていて、中央部は平らな陸屋根であるようだ。
アスファルト防水にシンダーコンクリート。
うーむ、これぞまさしく鉄筋コンクリート造の醍醐味である。

でもこのトップライト、少々痛んでいるように見えなくもない。
雨漏り、雨漏り。……
あーあ、某建物の雨漏り、どう対処すればいいのだろうか?
と、ここへ来ていやなことを思い出してしまった。(笑)

東京都復興記念館 
東京都復興記念館・正面

軒先の怪獣
軒先の怪獣
口のない怪獣 
口のない怪獣
内観(トップライト)
内観(トップライト)

 トップライトの拡大
トップライトの拡大

空襲時の爆弾など
空襲時の爆弾など